欧米式の四半期決算などからビジネスの世界では短期思考に陥りがちだが、足下ばかりをみていては、大きなトレンドを見失い、時代の変化に置いていかれることになる。これからのビジネスリーダーに必要なのは、なんといっても世界を俯瞰できる長期思考だ。長期予測に定評のあるエコノミストの中原圭介氏に、未来を予測する方法についてうかがった。

「経済的合理性」で見れば、
世界は予測できる

 現実の経済は、ビジネスの現場あるいは企業の活動で動いています。企業の経営者たちは、活動を行う上で何を一番念頭に置いているのでしょうか。それは、「経済的合理性」です。経済学者や評論家が何をいおうと、経営者は経済的合理性に基づいて行動しているのです。

 いまの経済学があまり役に立っていないのは、この視点が欠けているからです。経済学者の多くは、現実の経済をいまだに机上の空論で考えています。そのため、経済学は現実の経済と大きくズレてしまっています。

 経済はあくまでもビジネスの現場で動き、その動きの原理は経済的合理性です。この視点で見ていくと、世界や日本が10年、20年先にどうなっているのか、かなり高い確度で予想することができます。

短期思考では通用しない時代がやってくる

 もう1ついっておきたいのは、短期思考に陥ってはダメだということです。

 短期思考といえば、とりわけその傾向が甚だしいのが、現在のアメリカの大企業の経営者です。アメリカの大企業経営者は常に3ヵ月ごとの4半期決算で株主に何をいわれるかと危惧しています。