『原子炉時限爆弾』で、福島第一原発事故を半年前に予言した、ノンフィクション作家の広瀬隆氏。
壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実を描いた『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』が第5刷となった。
本連載シリーズ記事も累計179万ページビューを突破し、大きな話題となっている。
そんななか、8月28日、東京駅前の八重洲ブックセンター本店で、本書の出版記念講演会が開催された。
当日は金曜夜にもかかわらず、地方からも多くの方々が押しかけ、満員御礼になった。
普段、広瀬氏の講演会は「最低3時間以上」だが、この日は60分間限定。
それだけに、会場からは「密度が濃すぎた」「とても1時間では語り尽くせない内容だった」「本当にきてよかった」と真顔で話し出す人が続出!
それを見た担当編集者は、この熱気を全国津々浦々の方へ届けたいと、広瀬氏にリクエスト。ついに、濃密な講演内容を3回に分けてリリースできることになった。
反安倍政権の動きと、緊迫感高まる川内原発再稼働問題のなか、注目の1回目を心をこめてお送りする。

大事故目前!
川内原発での「死の行進」

 8月28日に、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』の出版記念講演会を、東京駅前の八重洲ブックセンターでおこないました。1時間しか話せなかったので、話せなかったことも含めて、その内容をご報告します。

 この日の演題は、「川内原発は、ほどなく大事故を起こす!!」です。

 累計179万ページビュー(サイトの閲覧数)を超えたダイヤモンド書籍オンラインの『東京が壊滅する日』の連載記事をご覧になっている方にお伝えしてきた内容から、みなさんはお分りのはずです。

“恐怖の生体実験”に、<br />いつまでかけられるのか?<br />――八重洲ブックセンター本店での講演(1)

 左の写真は、8月上旬に、川内原発の再稼働を阻止するため、実数2000人以上の人が、トテツモナイ猛暑のなかで「川内原発前の海岸」に集まって大集会を開いた時、そこにテントを張ってレジスタンスを続けていた人たちです。

 このテントのすぐ背後の山のかげに、今にも制御棒を引き抜いて動かそうとしていた原発が2基あるのです。

“恐怖の生体実験”に、<br />いつまでかけられるのか?<br />――八重洲ブックセンター本店での講演(1) 広瀬 隆
(Takashi Hirose)
1943年生まれ。早稲田大学理工学部卒。公刊された数々の資料、図書館データをもとに、世界中の地下人脈を紡ぎ、系図的で衝撃な事実を提供し続ける。メーカーの技術者、医学書の翻訳者を経てノンフィクション作家に。『東京に原発を!』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『クラウゼヴィッツの暗号文』『億万長者はハリウッドを殺す』『危険な話』『赤い楯――ロスチャイルドの謎』『私物国家』『アメリカの経済支配者たち』『アメリカの巨大軍需産業』『世界石油戦争』『世界金融戦争』『アメリカの保守本流』『資本主義崩壊の首謀者たち』『原子炉時限爆弾』『福島原発メルトダウン』などベストセラー多数。

 この参加者の人数は、大都会における国会前デモの参加者とは、比較にならないほど大きなものです。ド田舎での出来事ですから。

 去年の9月にこの命懸けのテントを張ったのは、東京で経産省前にテントを張った偉い人たちですが、現在は、驚くべきことに40以上ものテントが立ち並んでいました。

 つまり「川内原発を絶対に止める! たとえ九州電力が一時的に動かしても、それを止める」という強い意志を持った人たちが、8月9日に大集会を開き、そのあと原発ゲート前まで、私も猛暑で倒れそうになりながら「死の行進」のデモをしたということです。

 なぜかって? 

 それは大事故が目前だからです。

 鹿児島県が、福島県と同じようになる直前にあるからです。