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【サイコス社長 青葉哲郎 第3回 3週で300万本!「モンハン」のマーケティングに注目】

 

 「一狩り(ひとかり)行こうぜ」。人気のお笑い芸人が登場するCMでの掛け声だ。ゲームソフトメーカーのカプコンが12月1日に発売した「モンスターハンターポータブル3(MHP3、モンハン)」は、発売から3週間経たずして300万本、カプコン史上最速で約170億円も売り上げた。

 ソニーPSP向けのMHP3は、複数の仲間とゲームを楽しめる点が人気だ。自分好みにキャラクターをカスタマイズでき、短時間でも遊べるシステムなど、ゲームとしての完成度も高い。また、プレイヤーのオトモとして一緒に戦ってくれる「アイルー」と呼ばれる猫のキャラクターが愛らしく、女性プレイヤーの獲得に一役買っている。

 私が驚いたのは、企業間コラボレーションの多さと、その内容の質だ。MHP3の舞台は温泉地なのだが、長野県の信州渋温泉と協力し、大掛かりなコラボを実施。長野駅からはMHP3のキャラクターが描かれたモンハン特急が走る。駅のホームにモンハンの音楽が流れ、発車ベルもモンハンと徹底されている。ちなみに、渋温泉街では、各飲食店が趣向を凝らしたモンハンフードが食べられる。山菜そばや煮込みうどん、温泉まんじゅう、土産用のご当地日本酒・ビールなど、ゲームの世界観と合わせた食材を使用。それ以外にも、味噌、はちみつ、下駄、湯のみ、Tシャツ、タオルといったコラボグッズも展開されている。

 コラボはこれだけではない。ユニクロからはモンハンTシャツが30種類発売され、シダックスではカラオケをしながらモンハンをするという、「狩りOK(カリオケ)」キャンペーンを開催。年間575万人が訪れる東京ドームシティ・アトラクションズでは、ゲームで使えるアイテムの配信や、期間限定のモンハンカフェを展開している。モンハンのプレイヤー層と親和性の高いゲーム雑誌や少年コミック誌とのコラボは以前から行われており、人気コミックにまつわるアイテムが入手できる仕掛けだ。

 また、面白いのは競合企業とのコラボだ。カプコンと同等のマーケットシェアを持つコナミの代表タイトル「メタルギアソリッド」がMHP3に登場する。メタルギアシリーズは、世界累計販売数2600万本を超えるタイトルで、海外での人気が高い。モンハンは海外での販売数が少ないため、メタルギアシリーズとコラボすることで、海外での認知を高めることができるのだ。メタルギアソリッドの最新PSPソフトにも、モンハンが登場している。

 今や日本だけで売れるゲームを作っていたのでは、ゲームメーカーは生き残れない。国によってゲームの嗜好が異なるため、日本で売れるゲームが海外でも売れるとは限らない。海外ゲームメーカーの台頭も著しい。

 MHP3の販売戦術はゲームと同じようにユニークで、顧客・ファンが楽しめる企画ばかりだ。こだわりを持ち、綿密に作りこまれている点で評価できる。自社だけで完結せず、他社を巻き込みながら顧客・ファンを徹底的に楽しませる姿勢は、今の時代に合ったマーケティング手法である。これからの時代は、顧客をファンにできるかどうか、それがキーワードだ。

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