R-DNA 立命館value(10)

国際社会と地域発展に尽力 大学が担うさまざまな国際貢献

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立命館大学
教育・研究の分野でもグローバル化が進む現在、大学の国際協力、国際貢献のあり方が注目されている。立命館大学では早くから、世界が直面するさまざまな課題に挑戦し、知識の蓄積と活用を行ってきた。自らの力で未来を切り拓く「立命館大学(R)のDNA」は、「国際社会と地域に貢献する開かれた学園」の実現のため、独自のチャレンジを続けている。

 アジアは自然災害が多く、火山の噴火や津波、洪水などで多くの“歴史都市”が被害を受けています。しかし防災に関する意識や技術、組織づくりなどが浸透していません。一方、京都は文化遺産の宝庫であり、災害と再建の長い歴史を持っています。その京都で蓄積された防災研究の成果を共有し役立てようとしているのです」と語るのは、立命館大学政策科学部の鐘ヶ江秀彦教授だ。

立命館大学政策科学部 鐘ヶ江秀彦教授
東京工業大学大学院理工学研究科社会工学専攻博士後期課程修了。2006年立命館大学政策科学部教授に就任。日本地域学会や環境共生学会等の理事、日本計画行政学会05年度学会賞・論文賞を受賞他。

 その活動の拠点となっているのは、「立命館大学歴史都市防災研究所」だ。同研究所の目的は、文化遺産を有する歴史都市を災害から保全し、それを後世に継承するための、学理と技術を確立すること。ユネスコなどの国際機関とも連携しながら、文化遺産の防災に関わる国際的情報ネットワークのハブを目指している。

 鐘ヶ江教授はここで、タイのタマサート大学、イタリアのサッサリ大学と連携して、国際共同ワークショップを毎年開催している。各国の、歴史都市の保全政策の現状についての講義の他、京都市内の歴史的まちなみ保全のフィールドワークなどを実施。また、「インドネシア政府防災研修」を通して、文化遺産防災教育への支援なども行っている。

鐘ヶ江教授のリサーチプロジェクト(大学院ゼミ)には、アジアからの留学生も多く、彼らはタイやインドネシアとの国際協力事業にも参加している

世界の歴史都市の防災をプランニング

 鐘ヶ江教授の専門分野は、ひと言でいうと「プランニングの学理」。過去に起きた事象を研究する社会科学とは異なり、政策科学は過去から未来のビジョンやイメージを形成し、それを実現するために必要な手段や方法を構築していく学問。「いわば、未来を幸せにするための学理です」と鐘ヶ江教授は説明する。当然のことながらそこには国境がなく、研究フィールドはグローバルに広がる。

 タイでは大規模な洪水の被害を受けたアユタヤ遺跡、インドネシアでは旧首都であるジョグジャカルタ近郊にあるムラピ火山の火砕流の脅威と沿岸部の津波被害、さらにマチュピチュ遺跡のあるペルーを襲った豪雨の被害などの現地調査を行い、分析と予測結果を現地の大学とコミュニティへフィードバックし、防災に役立てる取り組みを行っている。

「炭素埋設農法」を通してCO2削減に貢献する

 鐘ヶ江教授はさらに、持続可能な社会形成のために政策的・組織的に取り組みを行う「立命館グローバル・イノベーション研究機構(RーGIRO)」のプロジェクトにも参加。CO2削減に貢献する炭素埋設農法(通称/クールベジタブル農法)の社会実験研究を行っている。

「植物は光合成によって大気中のCO2を吸収しますが、有機のまま枯れて微生物に分解されると再びCO2やメタンガスを排出します。そうなる前に植物をバイオ炭にして土壌に戻し、無機炭素を貯留する。炭素は固定期間が5万年以上に及ぶといわれ、農山間部で大量に発生するバイオマス資源をバイオ炭にして農地に貯留することで、温室効果ガス削減に大きな貢献ができます」(鐘ヶ江教授)

 世界の文化・歴史遺産の防災、地球規模の​CO2削減のために、社会システムの安定とリスク削減にチャレンジする鐘ヶ江教授。グローバルに展開する旺盛な研究には、立命館の未来を切り拓くR-DNAが息づいている。

教員や学生が国際的なフィールドを広げる機会を創出 立命館大学国際部 国際協力事業課 友常菜穂 課長補佐

 1980年代半ば以降、急速に国際化を進めてきた立命館大学。2006年には立命館憲章に記された「国際社会に開かれた学園づくり」を実現するため、大学では珍しい専門の“国際協力事業課”を立ち上げた。国際社会への貢献を、学園が取り組むべき課題として設定、持続性と発展性のある国際協力事業の推進を定めたのだ。

 同課の友常菜穂課長補佐は、立命館大学が国際協力事業を行う理由として、「財政基盤を学生納付金に置く私学として、外部資金に基づく国際協力事業は、教員や学生が国際的なフィールドを広げる機会を増やすためにも意義があります。事業を通じて教育や研究の国際化が推進でき、本学の国際連携へのシナジー効果が期待できます」と説明する。

 これまでの受託業務案件は、中国の大学管理運営幹部の特別研修やインドネシア政府防災研修、JICA(国際協力機構)ベトナム障害児教育支援事業など多数。民間との協働実施案件としては、立命館大学日本語教育センターや附属校である立命館宇治高校と連携して実施されている、UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビ首長国現地高校への日本語教育プログラムなどがある。「今後は国際協力、国際貢献のニーズのある国や地域によりフォーカスしながら、大学運営や防災などを軸に学内のシーズを活用し、より充実したプログラムを展開していきます」(友常課長補佐)。

日本語教育のサマーキャンプで立命館宇治高校を訪れたアブダビ首長国の学生たち

問い合わせ先

立命館大学入学センター TEL:075-465-8351 
大学ホームページ http://www.ritsumei.ac.jp/
入試情報サイト「リッツネット」http://ritsnet.ritsumei.jp
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週刊ダイヤモンド2013年7月27日号と同時掲載
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