TSMCvsインテル AI半導体決戦#4Photo:Bloomberg/gettyimages

台湾TSMCの内製化率を高めるという方針の下、ここ数年、日本のサプライヤーが台湾での工場建設に奔走し、日本の半導体産業は一時空洞化の危機に陥った。しかし、TSMC熊本工場の稼働によって、TSMCは日本で新たな半導体エコシステムを構築しつつある。特集『TSMCvsインテル AI半導体決戦』(全6回)の#4では、熊本工場が日本の産業界にもたらす恩恵と、現地調達率アップでビジネス拡大を狙えそうな日本のTSMCサプライヤー企業27社を解剖する。(台湾「財訊」林宏達、翻訳・再編集/ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

熊本工場の現地調達率は25%から
2030年に60%へと引き上げ

 台湾TSMCによる熊本第2工場の計画が動きだした。熊本の二つの半導体工場への投資総額は200億ドル(約3兆円)以上だ。このうち日本政府による補助金総額は1兆2000億円余りである。補助金は総投資額の約40%を占め、日本政府による台湾企業への補助金としては新記録だ。日本政府はTSMCへの巨額の支援の見返りに何を求めているのか?

 経済産業省は2023年6月に半導体・デジタル産業戦略を改定した。そこでは今後、半導体や情報通信技術の進化はとどまるところを知らず、競争力の源泉となる時代が続くと指摘。生成AIの登場や量子コンピューター、AIコンピューターなどの飛躍により、データセンターにおける計算処理もさらに拡大・用途別化が進み、消費電力の削減が求められるとした上で、「日本の産業にとって真のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する最後の機会であり、自動車・ロボティクスをはじめとするものづくり産業の競争力にとっても絶好機である。この流れに取り残されることは死活問題だ」とうたっている。

 また、日本は他の先進国に比べて高齢化や低賃金といった課題に直面しており、成長の勢いを取り戻す必要がある。岸田文雄首相が22年に掲げた「新しい資本主義」では、大胆な投資で経済成長を刺激し、企業には従業員の賃金引き上げを奨励し、全ての国民が経済成長の果実を分かち合うことを提唱した。

 こうした夢はどれも、最先端の半導体技術なしには実現できない。

 現在、日本のロジック用半導体の製造プロセスは依然として40~90nmに集中している。報道によれば、TSMCが熊本工場を設立する前の日本の最先端の製造プロセスは、40nmにとどまっていたという。日本政府がTSMCの工場設立を全面的に支援するのは、半導体を原動力とする新たな成長エンジンと日本を再び結び付けるためだ。

 TSMCが日本に設立した製造子会社JASMの堀田祐一社長は23年12月、JASMの現地調達率は現状では(わずか)25%だといい、26年に50%、そして30年に60%へと引き上げる計画を明らかにした。これは意外な数字だ。

 TSMCの台湾での現地調達率は既に60%まで高まっている。半導体材料・製造装置大国である日本に工場を設立するにもかかわらず、なぜ輸入に依存する必要があるのか?