日本産のコメ、その第2便が昨年12月末と08年1月下旬に中国に輸出された。07年7月に送り込まれた第1便24トン(新潟産コシヒカリ、宮城産ひとめぼれ)が、富裕層を中心に「パーッと売れた」という手ごたえから、上海・天津の港に荷揚げされた第2便(合計100トン)は北京、上海のみならず、中国13の地方都市にばら撒かれた。だが、半年経った今、日本産米の売れ行きが鈍っている。流通ルートと販売価格、その選択は正しかったのか。日本産米の中国展開は早くも黒雲が立ち込めている。
輸入第1便の「売れた」は
ぬか喜びだったのか?
攻めの農業のシンボルでもある日本産のコメ、昨年、その対中輸出が4年ぶりに解禁となった。07年6月末、第1便が日本の港を出発、中国に陸揚げされると、「1袋(2キロ)198元(約2970円)」という目の玉が飛び出るほどの価格をつけて市中に出回った。日本円に換算すれば10キロ1万5000円もするコメだ。コメの味にうるさい日本の主婦が求めても10キロ5000円がせいぜい。ちなみに日本のコメの小売価格、新潟産コシヒカリなら4896円(07年12月、10キロ)、宮城産ひとめぼれなら4100円(同)だ。
中国のサイトにも「こんな高い米、一体誰が買う?」、「喜んでいるのは日本の農民だけだ」と書き込みが走り、現地在住の日本人主婦も「買えるわけがない」、頼みの外食、すなわち日本料理店もまた「こんなコストのかかるコメ、客に迷惑かけるだけ」・・・・・・と冷ややか。決して「日本米が歓迎されていた」わけではなかった。
中国で年間消費されるコメは1.3億トン、1人当たり年間およそ100キロを食べる。上海の庶民が選ぶのは1キロ2~3元(1元=約15円)程度のコメ。富裕層が買い求める良質米でも1キロ10元程度だ。が、中国で流通を始めた日本米は1キロ約100元、どう考えたってこれを受け入れることができるのはかなり「特殊」な層だ。
だが、そんなコメがこともあろうに「パーッ」とはけた。中国のコメ相場の10~50倍に相当するコメを買って行ったのは富裕層といわれ、上海では「初日で500袋も売れたらしい」というウワサが流れた。店舗によっては「かなりの数の予約が一気に入った。けれどもレジに現れたのはどうみても普通のおばさん。富裕層には見えなかった」と率直に語るところもあれば、「売るためにサクラを仕掛けたのでは」という穿った見方も存在した。