7月8日、個人観光ビザで入国する中国人観光客を乗せた第1陣が成田空港に到着した。成田空港の第1ターミナルでは全日空機から降り立った18人を中国観光親善大使のハローキティがお出迎え。7人の家族連れもいれば、会社員や大学職員、夏休みに入った子どもや“女性一人旅”などさまざまな姿が見られた。

 08年10月に観光庁が発足して以降、一気に中国個人観光ビザが解禁に向けて動き出した。これは中国人が経済力をつけたことの証左でもあり、一定の条件を設けさえすれば日本での失踪懸念がほぼ払拭できることを踏んだものだ。発給は北京、上海、広州の在外公館が管轄する地域在住の個人(*1)がその対象となる。
(*1)個人ビザの発給は世帯に対して行われる。

個人観光ビザ中国人観光客第1陣
成田でキティちゃんの熱烈歓迎を受けた個人観光ビザ中国人観光客第1陣

 代理申請資格を得た中国の旅行社が年収や犯罪歴の有無などを調べ、「失踪(*2)の恐れのない十分な経済力のある中国人」であると旅行者の身元を担保し、絞り込まれた対象についてさらに在外公館のフィルターをかけ、ビザを発給するしくみだ。年収25万元(1元=約14円)以上という目安があるものの、実際これに満たない場合でも保有資産や社会的地位などから総合的に判断するという。
(*2)「失踪」は「不法滞在」とは異なる。スケジュール通りに帰国しないなどの場合も「失踪」としてカウントされる。

 この第1陣では43人(*3)が来日した。「00年に団体ビザを解禁したときは4ヵ月で1000人超が訪日。1ヵ月に換算すると250人ですが、今回は1週間でこの数字に相当する申請がありました」と観光庁長官・本保芳明氏はその手ごたえを語る。
(*3)成田空港39人、関西空港3人、新千歳空港1人。

 が、一方で気になるのが新型インフルエンザ。これがなければもっと数字は伸びただろう。第1陣で到着した観光客からはこんな本音も漏れた。

 「成田空港に脚を踏み入れたときはやっぱり怖かった。街はマスクをして歩かなくちゃ」