二転三転したエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)買収騒動に、ついに終止符が打たれた。過去の買収失敗劇を見て、am/pmブランドを所有する米企業に配慮した交渉が奏功した。これによって得た都内トップシェアなどの“果実”をファミリーマートはどう生かすか。上田準二社長の手腕が試される。
「非常にうれしいのひと言」と買収の感想を述べたファミリーマートの上田準二社長(左)。「加盟店をきちんと守り切れない」と売却の理由を語った本多利範・am/pm社長には無念の色が滲む 撮影:T.Fukumoto | 撮影:T.Usami |
「今まで本部の経営が不安定で店のオーナーには迷惑をかけたが、これでようやく店舗に対する投資を再開できそうだ」──。am/pm幹部は安堵の声を漏らす。
なにしろ「資金力と運営力不足で、商品開発や店舗の改装などにほとんどカネを回せていなかった。なかには10年近く、なんの手も加えられず老朽化している店もある」(am/pm関係者)状況だったのだ。
am/pmはコンビニエンスストア業界のなかで最後発で、業界7位。2000年以降、規模やノウハウに雲泥の差がある大手各社との熾烈な競争で、経営状況は悪化の一途をたどっていた。業界3位のファミリーマートによる買収は、まさに救いであった。
ファミリーマートは09年12月24日までに、am/pmの親会社であるレックス・ホールディングスが保有する全am/pm株式と、貸付債権を簿価で取得。実質的な買収金額は120億円となり、10年3月をメドに合併する。業界では04年9月のサークルKとサンクスの合併以来、久びさの大型再編となる。
現在、am/pmは全国に1119店展開している。ファミリーマートはそのうち、個人とフランチャイズ(FC)契約を結んでいる867店のうちの約250店が不採算や既存ファミリーマート店舗との競合であると分析。加盟店オーナーとの合意のうえで閉鎖する方向だ。
残りの約600店は、12年春までに看板をファミリーマートに統一し商品や店舗運営方法を変更するほか、商品の仕入れ先や弁当などの製造委託先を一本化。物流、システムなども統合し効率化を図る計画だ。
法人とFC契約を結んでいる252店は、今後、どのように統合効果を出すか検討される。
ファミリーマートにとってam/pm買収の最大のメリットは、東京都内でのシェア上昇。現在、都内の店舗数首位は業界最大手のセブン-イレブンで1646店。ファミリーマートは同1143店で2位だが、計画どおりam/pmの看板を統一できれば都内の店舗数は一気に1709店となり、セブン-イレブンを抜く。