資生堂が中国市場で大攻勢に出ている。1981年の中国進出から30年足らずで販売店は5000を突破し、中国における売上高は全体の10%を超えるまでに成長した。今年3月からは専用の新ブランドを投入し、薬局チャネル開拓を狙う。現地取材を通じて、資生堂のグローバル戦略の要となる中国事業の「強さの秘密」を検証する。(「週刊ダイヤモンド」編集部 前田剛)
洒落たブティックやデパートが立ち並ぶ上海・淮海路。年末を控えた休日、老舗百貨店の百盛(パークソン)の化粧品売り場は若い女性でごった返していた。なかでも、入り口のエスカレーターを上がった正面の“特等席”に陣取り、ひときわにぎわっているのが、資生堂の中国専用ブランド「オプレ」のカウンターだ。
高級百貨店には「SHISEIDO」、一般百貨店には「オプレ」、化粧品専門店には「ウララ」と、販売チャンネル別に専用ブランドを投入して市場を開拓している。大都市だけでなく地方都市も網羅しており、中国における資生堂の知名度は高い |
「あなたの肌質にはこの化粧水が合いますよ」。資生堂の美容部員のきめ細やかな応対に、客は1本200元(約2700円)もする化粧水に惜しげもなくカネを払う。オプレはシドニー、アテネと2度の五輪で中国選手団の公式化粧品にも認定され、いまや「国民ブランド」となっている。
ところ変わって、江蘇省揚中市。上海から高速道路をクルマで飛ばして3時間。人口8万人の地方都市でも、資生堂の化粧品は大人気だ。繁華街に店を構える化粧品専門店の益生堂は、月商30万元(約405万円)の3分の1を資生堂で稼ぐ。「高めの商品がよく売れる。1回の買い物で1人1000元くらい買っていく」と宣亜琴店長は言う。
資生堂は、大都市では百貨店、地方都市では化粧品専門店を通して販売を拡大し、ここ数年20%以上の2ケタ成長を続けている(グラフ参照)。中国市場では10%前後のシェアを有し、仏ロレアル、米P&Gと首位争いを繰り広げている。押しも押されもせぬトップブランドだ。