共働き世帯の増加に合わせて急増する保育園の需要。だが、供給がまったく追いついていない。認可保育園に入れない子どもは80万人を超えているが、少ない予算、硬直した制度や既存保育園の反対などにより新規参入は進まず、増加のスピードは遅い。株式会社はなぜ排除されるのか。制度のどこが問題なのか。予算は本当に足りないのか。子どもの前に横たわる問題を追い、処方箋を示したい。(「週刊ダイヤモンド」編集部 清水量介 深澤献)

急増する待機児童
少ない予算と硬直した制度で
80万人が保育園に入れない!

税金が投入されている認可保育園に入れない子どもが80万人以上もいるという不平等が長らく放置されている。誰が待機児童を生み出しているのか、その原因を追った。

 小学校に入れない子どもが80万人いる状況を想像してほしい。もしそんな国があれば、とても先進国とはいえないはずだ。

 ところが、日本ではそれに近いことが、保育園で起こっている。

増えぬ新規参入 減らぬ待機児童保育園問題の不合理

 国が定めた設置基準を満たし、公費によって運営される保育園を「認可保育園」と呼ぶが、この認可保育園に申し込みをしながらも入園できない「待機児童」は現在、2万5000人を超えている。

 さらに、厚生労働省の試算によれば、潜在的需要は80万人を超えるといわれている。最初から諦めて申し込まない家庭や、近隣に保育園がない家庭もあるからだ。

 近年、待機児童問題を解消すべく保育園の増設が進んでいるが、それでも需要に追いつかない。

 その背景には、保育園に子どもを預けたいと思う共働き世帯の増加がある。しかも、2008年の世界同時不況以降、夫の収入の減少を補おうと、働く女性が増えている。