“根性”だけが頼りだった禁煙に、内服治療薬が登場。パッチ薬の薬局販売も実現した。“理性的”禁煙の土台は整っている。
タバコはまさに「百害あって一利なし」。現時点でタバコを吸ったほうがいいという人はいない。あらゆる病気の発生率は、タバコを吸う人のほうが高い。肺気腫なら2.2倍、肺ガンだと4.5倍、喉頭ガンだと33倍にもなる。
喫煙者の近くにいる人がタバコの煙を吸う受動喫煙は、もっとたちが悪い。不完全燃焼の結果出てくる副流煙に含まれる有害物質は、主流煙の数倍~数十倍とされる。
日本の喫煙人口は約2500万人で、成人の4人に1人が吸っている勘定だ。徐々に減っているが、他の先進国に比べて格段に高い。しかも、20代、30代の女性に限れば、喫煙率は増える傾向にある。
若いうちから吸い始めるほうが、ニコチンの依存度が高くなる傾向があり、それだけタバコをやめにくくなる。
精神疾患の場合は
主治医と要相談
「吸う場所が少なくなった」「白い目で見られる」などの理由で、最近タバコをやめようとする人も増えている。だがいざ、やめようとしても成功する人は多くない。
いったん禁煙しても、宴席などで「一本くらいいいだろう」と吸ってしまう“一本お化け”の登場で、再び喫煙を始めてしまうことも少なくない。薬物などを使わない場合、禁煙に取り組んだ人が、1年後に禁煙に成功している確率は、2割程度とされている。
禁煙を難しくしている原因の一つに、ニコチンへの“身体的依存”がある。喫煙者は血液中のニコチン濃度が下がると、ニコチンが欲しくなるのだ。