5月下旬からサッポロビールとキリンビールによる共同小口配送の実験が始まるが、この2社連合にサントリーが合流を打診していることが明らかになった。

 熾烈なシェア競争を繰り広げるビールメーカー大手4社だが、これでアサヒビールを除く3社が物流分野で手を握ることになる。

 じつは、サッポロは5年前、サントリーと北海道のほぼ全域を対象とする共同配送で合意していたにもかかわらず、破談となった。そんな経緯もあって、4月下旬のサッポロとキリンの共同配送合意の発表直後、サントリーは参加の意向を伝えた模様だ。

 キリン、サッポロによる共同配送の実験対象は、北海道の紋別、岩見沢、倶知安、室蘭におけるビール系飲料、清涼飲料。狙いは物流コストとCO2排出量の削減だ。都市部なら自社製品だけで10トントラックを満載にできるが、地方では4トントラックでも空きが出る。

 そこで、両社の商品を混載して運ぶことで、トラック運行台数を半減し、CO2排出量を2割削減するという。サントリーが加われば、さらに効率化が進むのは間違いない。

 すでにサッポロは2000年の宝酒造を手始めに、北海道や九州、東北など全国各地で日本酒や焼酎のメーカーと共同配送を手がけている。今回の実験は北海道だけだが、いずれ九州や東北といった地域に拡大するのは必至。地方のみならず、大手スーパー等への商品納入についても共同化に踏み切る可能性がある。

 キリンは、サントリーが大手食品メーカー3社と進めていた段ボール原紙の共同調達に参加。サントリーは、キリンが先行使用していた缶容器「204径缶」を採用するなど、ビール業界では物流・資材調達提携が急加速している。この動きが業界再編にまでつながるのか、提携から距離を置いているアサヒがどう動くのか。次の焦点はそこに移る。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 小出康成)