パイオニアが、業績悪化の“元凶”となっているディスプレイ事業の再建計画を提示した。

 2009年3月までに、主力3工場でのプラズマパネル生産を終了し、今年8月に、シャープから液晶パネルを調達して液晶テレビ市場へ参入。09年夏から、松下電器産業からプラズマパネルを調達する。

 雇用調整の規模は、構造改革費用150億円から逆算すると、「1500~2000人に上る」(アナリスト)見込み。3工場の要員1400人の大部分が含まれる可能性が高い。

 08年3月期の連結決算は、売上高7745億円(前期比2.8%減)、当期純損失180億円だった。今期は当期純損失190億円となる見込みで、5期連続の最終赤字となる。

 だが、その赤字計画の達成さえ、危ぶまれているのが現状だ。

 09年3月期の通期予想は営業利益70億円。その内訳は、上半期が150億円の営業赤字、下半期が220億円の営業黒字である。つまり、下半期に業績がV字回復する計画だ。

 事業別に営業利益の内訳を見ると、ディスプレイを主軸とする家電事業で営業損失150億円、車載機器事業等で営業利益220億円。車載機器事業は上半期、下半期共に黒字になるので、下半期の連結営業利益220億円には、車載機器事業の利益だけではなく、家電事業のそれも含まれていなければならず、下半期に家電事業が黒字化する計画なのだ。

 ところが、実際のビジネスではどうか。シャープ製液晶テレビの販売目標はわずか6万台だ。自社製パネルが搭載されたプラズマテレビの出荷台数見込みは前期比2割減の37万台。とても、薔薇色の計画が描ける状態ではない。

 さらに、頼みの綱の車載機器事業の利益率が落ちている。今期の同事業の営業利益率は4.9%となる見込みで、前期の7.0%よりも、2.1ポイントも落ちる。OEMのカーナビゲーション向けの開発コストが上昇しているためだ。

 再建計画は初年度からつまずくこと必至だ。しかも、リストラの長期化は企業体力を削ぐことになりかねない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 浅島亮子)