中間期や通期の業績予想を下方修正する地方銀行や第二地方銀行などが相次いでいる。

 このうち、石川県の北國銀行と福井銀行は、ゼネコン中堅の真柄建設の経営破綻に伴って、2009年3月期の業績予想を下方修正している。

 また、8月13日に民事再生法の適用を申請したアーバンコーポレイションのメインバンクである広島銀行も、08年9月中間期の純利益が半減すると発表。08年度第1四半期(4~6月期)が終わったばかりにもかかわらず、すでに10行以上が業績予想を下方修正しているのだ。

 背景にあるのは、建設や不動産を中心とする取引先企業の破綻が相次ぎ、不良債権の処理が拡大していること。第1四半期の処理額は、前年同期の2倍以上だ。

 だが、そんな地銀、第二地銀にさらなる逆風が吹き荒れる。というのも、今夏以降、金融庁が検査を厳格化させる構えだからだ。

 金融庁は、検査指針を策定。そのなかで、これまで自己資本や資産査定など10項目を総合的にチェックしてきた検査の仕組みを転換することを決めた。関係者によれば、規模や健全性など各銀行の状況に応じ、重点を絞った検査に改めるという。つまり弱点に狙いを定め、より深掘りした検査を実施するというわけだ。

 また、金融庁の内部資料「ベター・レギュレーションに向けた取り組み」によれば、主任検査官が3年程度、同じ銀行を担当し、問題点を継続的に点検する「エグザミナー・イン・チャージ」という制度を地銀にも導入することを検討しており、「業績の悪い地銀を再編させるため、本気で追い込もうとしているのでは」と関係者は戦々恐々としている。

 しかし、一方で金融庁は、原油高などの影響で中小企業の資金繰りが悪化している状況を懸念し、金融機関が貸し渋りをしていないか、検査の過程でチェックする方針も打ち出している。

 「貸し渋りはダメ、でも不良債権処理は進めろという半ば相反する課題を解決するのは無理。どうすればいいのか……」。地銀関係者の悩みは尽きない。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 田島靖久)