【第1回】 2009年10月01日
「恵まれているはずなのに、何を悩むことがあるんだ?」
――世代間ディスコミュニケーションの背景にあるもの
「うつ」についてマスメディアがとり上げる機会も増え、社会的にもメンタルヘルスへの意識が高まってきて、研修や啓蒙活動が活発になされるようになりました。しかし、依然として「うつ」に陥った人を取り巻く人間的環境は、まだまだ十分なものであるとは言えません。
とりわけ、上司と部下、親と子などの基本的価値観の相違は、世代間のディスコミュニケーションを生み、「うつ」についての無理解が生まれる大きな原因となっています。
――何不自由なく恵まれているはずなのに、何を悩むことがあるんだ?
――自分たちの若い頃は、「自分らしく」なんて考える暇はなかった。どんなことでもひたすら続けていけば、それなりに何とかなるものだ。
――今の人たちは贅沢病で、精神的に弱くなっているんじゃないのか?
――まずはメシが食えなければ何も始まらないだろう。どうしていつまでも青臭いことで悩んでいるんだ?
このような価値観を持つ上の世代から見れば、現代の若い世代の「うつ」の状態や引きこもり、ニートなどの状態は、まったく理解不能ということになるでしょう。
今回は、このような世代間ディスコミュニケーションの背景に何があるのかということを、掘り下げて考えてみたいと思います。
「生きる意味」を問う人々
「うつ」の状態に陥ると、人は、それまであまり意識せずにいた「生きる意味」を問わざるを得なくなります。
――生きる意味とは何なのか?
――自分らしく生きるとはどう生きることなのか?
――なぜ生きなければならないのか?
――なぜ仕事をしなければならないのか?
このような実存的な問いは、本人にとって容易に答えの見つからない厄介なものであると同時に、それを投げかけられた周囲の人間にとっても、答えに窮するような性質のものでしょう。
多くの人は、深く考えたことのない問いを突きつけられた際に、狼狽を隠すように「それは考え過ぎだよ」「そんなことを考えている暇があったら、もっと仕事(勉強)をしろ」「気分転換でもしたほうがいいんじゃないか」「病気だからそんなこと考えるんだ」などとはぐらかしてしまったり、問い自体を否定してしまったりします。
Special Topics
バックナンバー
- 第12回
- 本当に正常なのは誰だ? ―社会に適応したマジョリティと心に正直なマイノリティ (2010年03月04日)
- 第11回
- 人間はもともと、邪悪で怠惰な存在なのか? ――「自己コントロール」のわな (2010年02月18日)
- 第10回
- 「自己主張」で排除されてしまう ―周りに「どう思われるか」ばかり気にする「ムラ的共同体」 (2010年02月04日)
- 第9回
- 食事に“美味しい”は要らない?―ガソリン補給のためだけに食べる人々 (2010年01月21日)
- 第8回
- 「結果」のみを求める成果主義―効率優先で失われる「質」の問題 (2010年01月07日)
- 第7回
- マニュアルがないと何もできない――「自分で考える」力のない人々 (2009年12月24日)
新着トピックス
- 業界別 半年先の景気を読む
- 市場規模はピーク時の6分の1!? バイク業界にみる縮小市場で生き残る方法
- Close-Up Enterprise
- セイコーHD株主代表訴訟へ 不透明経営に批判
- inside
- 内陸振興策で出稼ぎ激減! 中国沿海部の労働力不足
- 森達也 リアル共同幻想論
- 何かが変だ。その"さん"づけに違和感がある
- 山崎元のマネー経済の歩き方
- 対等合併の呪
- おもしろ県民性データブック
- 【長野県】勉強好きで理屈っぽいが県歌を歌えば心は一つ
- 3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言
- 知識労働者は組織を通じて成果をあげなければならない
- 今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ
- あなたは保険会社に騙されている!? 「保険見直し」のバイブルが登場
- はい上がれる人、はい上がれない人――「負け組社員」リベンジの十字路
- “人生の負け組”が勢ぞろい! 負け組リベンジの名門「奇跡の屋台ラーメン」
ダイヤモンドオンラインplus 知っておきたい価値ある情報
最新の連載一覧
経済・時事
経営・戦略
スキル・キャリア
Diamond Premium 最新記事 無料会員登録すると全文が読めます
- 原英次郎の「強い中堅企業はここが違う!」 トップに聞く逆境の経営道
- 段ボール業界随一の原価計算の鬼! アースダンボールに学ぶネット販売の真髄 ~奥田敏光社長に聞く(下)
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- 【企業特集】ユニー 提携と差別化戦略で狙う “超”地方小売りチェーン
- 金融市場異論百出
- 「やり過ぎ」とブーイングを 浴びるFRB、正反対の日銀
- 週刊ダイヤモンド アーカイブズ
- クリス・アンダーソンとロングテール理論をおさらい!ネットが動かしたニッチ商品の驚くべき市場規模
- 『週刊ダイヤモンド』特別レポート
- 日本のテレビ業界が復活するには 「キー局の合従連衡」が待ったなし
- 山崎元のマネー経済の歩き方
- 成長のための資産運用の落とし穴

- 「測るための標準」を考える
- 紀元前2500年頃に造られたピラミッドの建築に当たっては、常に同じサイズの石を…

- DOL編集部のツイッターを開始
- 最新記事の話題から編集部の日常まで、24時間つぶやきます。フォローよろしくお願いします。
Business information
著者プロフィール
- 泉谷閑示
(精神科医)
1962年秋田県生まれ。東北大学医学部卒。東京医科歯科大学医学部付属病院医員、(財)神経研究所付属晴和病院医員、新宿サザンスクエアクリニック院長等を経て、現在、精神療法を専門とする泉谷クリニック院長。著書に『「普通がいい」という病』(講談社現代新書)と最新刊の『「私」を生きるための言葉』(研究社)がある。
「泉谷クリニック」ホームページ
この連載について
今日急増している「うつ」は、もはや特定の個人の問題と捉えるだけでは十分ではない。現代人が知らず知らずに翻弄されているものの正体は何か。前連載に引き続き、気鋭の精神科医が豊富な臨床経験をもとに読み解く。
アクセスランキング
- 1位
- エコカー大戦争!
- トヨタの電子制御問題に隠れた事実! アメリカ人特有のアクセルの踏み方
- 2位
- 「引きこもり」するオトナたち
- 成績優秀なのに仕事ができない “大人の発達障害”急増の真実
- 4位
- 働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気
- 突然、妻を襲う原因不明の頭痛! 男性も他人事ではない更年期障害の実態
- 5位
- News&Analysis
- 日本を逆転しても意識は“子ども”のまま? 中国が世界にバラまく「強欲社会主義」
Recommend 話題の記事
- 経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”
- NTTグループには大誤算? 原口総務相の経営形態見直し指示
- News&Analysis
- やはり“持ち直し局面”入りは確実? データと巷説に見る「住宅の本当の買い時」
- 週刊ダイヤモンド 企業特集
- 【企業特集】ユニー 提携と差別化戦略で狙う “超”地方小売りチェーン
- IT&Business
- サイバー攻撃の増加で注目度急上昇! マカフィーが誇るセキュリティ技術の中身
- 岸博幸のクリエイティブ国富論
- 米金融関係者が鳩山政権に抱く4つの懸念と違和感
- News&Analysis
- 日本を逆転しても意識は“子ども”のまま? 中国が世界にバラまく「強欲社会主義」
- 田中秀征 政権ウォッチ
- 鳩山首相は度を越えた「偽善者」か? “上から目線”の政治が不信感を強める
- 働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気
- 突然、妻を襲う原因不明の頭痛! 男性も他人事ではない更年期障害の実態

- 【PrimeTime】トップインタビュー
- 「サービス力は人財力と組織力の掛け算」~百瀬次生・日立電子サービス社長

- 【THEProject】プロダクトとサービス最前線
- 現実味帯びる「IFRS」。最新会計基準対応処理システムを低コストで提供
雑誌定期購読のご案内
特大号・特別定価号を含め、1年間(50冊)市価概算34,500円が、定期購読サービスをご利用いただくと25,000円(送料込み)。9,500円、約13冊分お得です。さらに3年購読なら最大49%OFF。
1冊2,000円が、通常3年購読で1,333円(送料込み)。割引率約33%、およそ12冊分もお得です。
特集によっては、品切れも発生します。定期購読なら買い逃しがありません。
年間12冊を定期購読すると、市販価格8,400円が7,150円(税・送料込み)でお得です。お近くに書店がない場合、または売り切れ等による買い逃しがなく、発売日にお手元へ送料無料でお届けします。
※別冊・臨時増刊号は含みません。
偶数月の1日発売(隔月刊)。1年購読(6冊)すると、市販価格 5,880円→4,700円(税・送料込)で、20%の割引!
※別冊・臨時増刊号は含みません。
お知らせ・ご案内
- 会員専用ページ開始のお知らせ
- 7月より一部の記事で、無料会員登録した方だけが全文を読める形に変わりました。詳細はこちらをご覧ください。




