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なぜ査定結果に納得できないのか?
「ストレステスト懐疑論」の理由と本質

「甘過ぎるシナリオ」と
「少な過ぎる損失発生予想額」

 まず、今回のテストについて批判が集注しているのが、テストの前提になっている「経済のシナリオ」が甘いことだ。

 実際のストレステストは、一般的に予想されているよりも厳しい「経済条件=シナリオ」を設定し、それを前提にして銀行が追加的に被る損失額を予想する。

 今年2月25日、FDIC(連邦預金保険公社)は、テストの前提となるシナリオを公表した。それによると、2009年のGDPは▲3.3%、2010年の失業率が10.3%など、2月時点ではかなり厳しい経済条件を想定していた。

 ところがその後、経済状況の悪化が予想以上に進んだため、当初厳しく想定していたシナリオが、ごく普通の「実現可能性の高い条件」になってしまったのだ。つまり、その程度の景気悪化は十分に考えられる範囲になったのである。

 それにもかかわらず、その後テスト条件の見直しは行なわれず、結果的に“甘いシナリオ”が前提となってしまった。そのため、一部の専門家からは、「あの条件ではまともなストレステストにならない」との批判を浴びることになった。

 もう1つの批判は、テストの結果19の金融機関が被る可能性のある損失額予想額を5993億ドル(約59兆円)と算定している点だ。

 4月21日、IMF(国際通貨基金)は“国際金融安定性報告”の中で、米国の金融資産から発生する損失額を2兆7120億ドル(約270兆円)と試算している。

 むろん、ストレステストの対象となった金融機関が、ここで言う「米国の金融資産の全て」を保有しているわけではないため、270兆円の損失額が全て19行に降りかかるわけではない。

 しかし、米国の有力銀行がかなりの資産を保有していることは明らかなため、専門家から「IMF試算の270兆円と、ストレステストの59兆円の違いが大きすぎる」との批判が出ることは、当然だろう。

 「両者の損失予想額の違いを見れば、いかにFRBの算定が甘いかがわかる」との指摘もある。

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著者プロフィール

真壁昭夫
(信州大学教授)

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。

この連載について

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