【第8回】 2008年09月26日
麻生首相に物申す!設備投資減税は効果薄
日本のモノ作り神話を盲信してはいけない
盛り上がりに欠けた自民党総裁選も終わり、麻生政権がスタートしました。衆院選の時期などの不確定要素はあるものの、当面はこの政権が経済政策の舵取りをします。そこで、新政権へのお願いの意味も込め、日本の成長力を高めるに当たってのクリエイティビティの重要性を考えてみたいと思います。
クリエイティブ産業は成長産業として大事ですが、1億人以上の雇用のためには、他のあらゆる産業でもクリエイティビティという要素を重視すべきであり、経済政策もそれを後押しする必要があるのです。
日本経済の立ち位置を
正しく認識しよう
あらゆる産業でクリエイティビティが重要という点をご理解いただくには、日本の経済や企業の立ち位置を正しく認識する必要がありますので、まずその点を簡単に説明したいと思います。
マクロ経済のレベルで見ると、日本経済は没落の一途を辿っています。世界の名目GDPのうち日本が占める割合は、1994年は17.9%だったのが、2007年には8.1%にまで大幅に低下しています。また、日本の一人当たり名目GDPを見ますと、1994年には世界第3位でその額も英米独仏を50%も上回っていたのが、2007年には世界22位まで転落し、その額も世界1位のルクセンブルクの1/3となってしまいました。欧米諸国やアジアの新興国が順調に成長を続ける中、日本の経済だけが悲しいかな“順調に”弱くなっているのです。
それ以上に深刻なのが日本の産業と企業の国際競争力です。未だに「日本のものづくり(=製造業)は強い」と言われることが多いのですが、少なくとも数字で見る限り「自動車以外では日本のものづくりは弱くなっており、特にハイテク分野が弱い」と言わざるを得ません。日本の製造業の企業は、株式時価総額からも明らかなように、世界のトップクラスの企業と比較して大きく遅れをとっているのです。
例えば、武田薬品工業は日本を代表する薬品メーカーですが、世界の薬品業界の中では14位に過ぎず、株式時価総額は世界最大手のジョンソン・エンド・ジョンソンの1/4しかありません。また、キヤノンは日本を代表するテクノロジー企業ですが、世界のテクノロジー企業の中では15位、株式時価総額も世界最大のアップルの1/3です。ちなみに、アップルの株式時価総額と比較すると、日立製作所は1/6、NECは1/20に過ぎません。
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著者プロフィール
- 岸 博幸
(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)
1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス非常勤取締役を兼任。
この連載について
メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。
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