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「下流の子は下流」は本当か?
格差世襲社会の現状を徹底分析

週刊ダイヤモンド  「下流の子は下流?」 かなり刺激的なサブタイトルですが、現実にいまの日本は、そう言わざるをえない状況となっています。

 特集では、子どもの教育にはカネに糸目をつけない富裕層の話の一方、父親がホームレスになったために施設で暮らし、高校卒業後に施設を出たら自分もホームレスになってしまった青年の話など、対照的な事例が数多く出てきます。

 親の経済状態、生活状態によって受けられる教育が違い、それが最終学歴の差となり、職業、収入の差になっていく──。貧乏をバネに格差を乗り越えるどころか、まさに格差が「世襲」される社会になりつつあることがわかるはずです。自由主義社会の絶対条件である「機会の平等」は、いま風前の灯火です。

 学歴や資格、地位を得るには、試験など各種の選抜システムを経るだけに、本人は「自力で得た成果だ」と錯覚しがちですが、生まれつき手にしていた親の学歴、収入の差という「既得権」を元手につかんだ実績なのであれば、それは最初から公平な競争ではなかったのではないでしょうか。こういう競争を「出来レース」と呼びます。「世襲」とは、言い換えれば「出来レース」ということです。

 日本全体を見渡せば、政治家、高級官僚、経営者といった社会のリーダー層も、世襲にまみれています。選挙を勝つのに欠かせないのは「地盤、看板、カバン(おカネ)」といいますが、世襲議員が増殖する理由はまさにその点でアドバンテージがあったからにほかなりません。政治家というのは、「選挙」という一見、公平な競争を勝ち抜いて、自力でつかんだ地位のように思えますが、決してそんなことはないわけです。

 自らを明らかな特権階級と自覚するヨーロッパの貴族は、「ノブレス・オブリージュ(高貴な義務)」を素直に実践することができますが、自分は公平なレースを勝ち抜いてきたという誤解と奢りは、弱者の存在を見えなくします。そして、「貧しいのは自己責任」と勝者の論理を振りかざすようになります。リーダー層は、なぜいま自分がその地位にいるのか、自らに問い直す必要があるでしょう。

 現代の日本社会において、格差が存在することは仕方がありません。しかし、本人に原因のない格差の責任を本人に負わせるべきではない。産まれたばかりの赤ちゃんに、逆転不可能の人生を背負わせるような社会であってはなりません。

 そんな問題意識を込めた特集です。解決策は容易には見つかりませんが、まずはだれもが事態を自覚し、考えることにこそ意義がある。ぜひ、ご一読下さい。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 深澤 献)

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