【第26回】 2009年06月20日
日本の製造業は設備の2割を廃棄しても、わずか0.7%のROAしか実現できない
政府が6月の月例経済報告で事実上の景気底入れ宣言をしたことから、日本経済の先行きについての楽観ムードが出始めている。しかし、前々回述べたように、日本企業の収益は、きわめて厳しい状態にある。とくに製造業は全体として赤字に転落しており、今後も容易には回復しないと予想されている。以下では、日本の製造業の収益状況について、長期的な観点から分析を行なうこととしよう。
製造業のROA(総資本営業利益率=営業利益/総資本)の1950年代からの推移を見ると【図表1】のとおりだ。
| 【図表1】製造業のROA(総資本営業利益率)の推移 |
![]() |
| 資料:財務省「法人企業統計」 |
全体の期間をつぎの3つに区別することができる。
(1)高度成長期
オイルショックまでの高度成長期において、日本企業のROAは高かった。製造業は、8%程度という高い水準であった(図には示していないが、その他の産業のROAも、製造業よりは概して低かったものの、全産業平均でも6%を超える水準にあった。ROAが最も低かったのは卸小売業だが、それでも6%程度の水準にあった)。
高度成長期において日本企業のROAが高かった原因としては、つぎの2つがあげられる。第一は、欧米諸国に比較して賃金水準が低かったこと。第二は、為替レートが70年代初めまで1ドル=360円という水準に固定されていたことだ。これは、変動相場制で成立したはずのレートに比べれば、大幅に円安のレートだったと考えられる。1971年のスミソニアン合意による為替レート調整以降、1ドル=308円という急激な円高になったことを見れば、それは明らかである。
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著者プロフィール
- 野口悠紀雄
(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授などを経て、2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『「超」整理法』シリーズ、『資本開国論』『モノづくり幻想が日本経済をダメにする』等がある。 野口悠紀雄ホームページ
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この連載について
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