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だれが「スポーツ」を殺すのか ~暴走するスポーツバブルの裏側~

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国会決議なき「政府の財政保証」も・・・。民意を蔑ろにして暴走する2016年東京五輪招致

 2016年東京オリンピック招致について招致委員会(以下、招致委)が2月12日にIOC(国際オリンピック委員会)へ提出した「立候補ファイル」は、偽りやごまかしによる“作文”という印象が強い。

理念に掲げられた
「平和」の偽り

 IOCの17項目にわたる質問のなかの「理念」について、上記ファイルでは「平和に貢献、世界を結ぶオリンピック・パラリンピック」と回答している。

 しかし以前に、石原慎太郎・都知事は「理念はどうにでも作文できる」と言い放っており、今回、ファイルに書かれた理念ももちろん作文に違いない。

 2月14日付毎日新聞朝刊の社会面に、「唐突な『平和』強調」という記事が掲載されている。

 「石原知事はかねて憲法改正に意欲的な発言を重ね、靖国神社に00年から昨年まで8月15日に参拝している。(省略)これまで都などが展開してきた招致活動で『平和』が強調されたことはほとんどなかった」

 それに加えて、石原都知事は、「第三国人」発言に象徴されるようにアジア蔑視の国粋的なイデオロギーの持ち主であり、「世界を結ぶ」インターナショナルな思想と対立している。そうしたことも含めて、毎日新聞の「唐突」という表現は穏やか過ぎ、むしろ「偽りの作文」と断じるべきだろう。

 財政についても、大会運営費(収支とも3100億円)は当然のこととして、その他の競技施設建設・整備、関連施設や道路建設・整備などの費用についてもすべて明らかにすべきである。それを明らかにしていないのは、オリンピック招致の真の狙いが、“東京の大規模な再開発”であることをごまかすためであろう。

 「日本の底力を世界に示すために、東京をより成熟した都市に再生する」というのが石原知事の真の企図であり、オリンピック招致はそのための単なる口実としか考えていない。招致費用ひとつとっても、当初の55億円(都負担は15億円)だったものが、150億円に膨れ上がり、そのうち都の負担は100億円にものぼる。ましてや競技施設や道路の建設・整備の費用が予算以上に膨張することは目に見えている。

 東京再開発は、都の財政を圧迫し、教育、医療、福祉、災害など都民の生活に直結する財政削減に繋がる惧れが多分にある。

都民ばかりでなく
「国民」にも影響

 「立候補ファイル」の他に添付された書類にも、重大なごまかしがある。それは、「政府保証」に関するもので、いつ、どのようにして政府が決めたのか、明らかにされていない。

 政府保証についてはオリンピック憲章に次のような規定がある。

 「全ての立候補都市のある国の中央政府は、法的な拘束力のある文書をIOCに提出し、そのなかで、その国と当局がオリンピック憲章を遵守しかつ尊重することを、当該政府が約束、保証しなければならない」

 つまりこれは、オリンピック開催に当たってオリンピック憲章の遵守を政府として保証しなければならないということである。

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著者プロフィール

谷口源太郎
(スポーツジャーナリスト)

1938年鳥取市生まれ。講談社、文芸春秋の週刊誌記者を経て、フリーランスのスポーツジャーナリスト。スポーツを社会的視点からとらえた批評をてがける。市民の立場からメディアを研究する「メディア総合研究所」会員。フェリス女学院大学非常勤講師。著書「スポーツを殺すもの」(花伝社)、「巨人帝国崩壊」(花伝社)、「日の丸とオリンピック」(文芸春秋)など。

この連載について

底の浅いスポーツ報道に高騰する放映権料、エージェントの暗躍やスポンサーと協会の利害関係、そしてスポーツを利用する政治家まで。スポーツは純粋な「競技」から、完全に「ビジネス」と化した。スポーツを殺したのは一体誰なのか。暴走するスポーツバブルの裏側を検証する。

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