「最近のプロ野球はサッカーのマネばかりしている。実に嘆かわしい」
このような主旨で書かれた野球評論家・江本孟紀氏のコラムがネットで議論を巻き起こしている。
掲載されたのは北海道で発行されているスポーツ紙「道新スポーツ」。このコラムを親会社である北海道新聞の記者・黒田伸氏がブログで紹介したことからネットに取り上げられ、掲示板に賛否の声が集まった。
http://blog.hokkaido-np.co.jp/kuroshin/archives/2009/11/post_312.html
プロ野球にも「サポーター」や
「クラブ」「アウェー」が浸透
江本氏が嘆く「サッカーのマネ」を挙げておこう。
(1)11月14日に日本と韓国のプロ野球王者(巨人とKIA)が戦う「日韓クラブチャンピオンシップ」が行われたが、プロ野球チームをなぜサッカー流に「クラブ」と称するのか。
なお、この大会は昨年まで日本・韓国・台湾・中国の4ヵ国の野球王者がアジア・ナンバー1を争う「アジアシリーズ」として行われていたが、赤字のため休止され、今年から日韓2ヵ国のチームによる一発勝負になった。
(2)11月22日には「U-26NPB選抜対大学日本代表」の試合が行われた。プロ側は26歳以下の若手でチームを組んだため「U-26」という名称を使ったが、U-23とかU-18などと年代別に区切ってチームを作るサッカーのマネのようで違和感がある。加えてオリンピックのサッカー代表に倣った「オーバーエイジ枠」なるものもあった。
(3)プロ野球では昔から試合を主催するチームを「フランチャイズ」、敵地から乗り込んできた相手チームを「ビジター」と称していたが、最近では「ホーム」と「アウェー」というようになっている。また、野球の応援団を「サポーター」と表現するメディアも出てきた。
(4)野球の応援の仕方もサッカー化しつつある。補足すると、従来はトランペットのリードに合わせて「かっとばせ~○○!」と叫ぶパターンが主流だったのに、最近では太鼓に合わせたり人の声だけで選手をコールするサッカー風応援が増えてきた。
江本氏はこうしたマネを批判しているわけだが、その根底には「プロ野球はJリーグよりもはるかに歴史もあるし人気もあった。独自の文化も創ってきた。なのに統括する日本野球機構(NPB)も球団もメディアもファンも、揃いも揃ってサッカーに迎合している。野球界のプライドはないのか」という思いがあるはずだ。