突然の一報だった。「小沢代表が辞任表明」。

 新代表が決まるまでの6日間、揺れる民主党の追跡が始まった。立候補したのは鳩山由紀夫氏と岡田克也氏。小沢前代表を幹事長として支え続けた鳩山氏、一方、新しいスタートをうたう岡田氏。

 一騎討ちを制したのは鳩山氏だった。なぜ鳩山氏が選ばれたのか。政権交代をかけた衆議院選挙を前に選択を迫られた議員たち、その舞台裏に密着した。

鳩山氏vs岡田氏
民主党議員はどう動いたのか?

 代表選レースが始まった翌日の夜。取材班は都内の某所に向かった。民主党の若手議員たちが密かに会合を開いているという。参加議員が胸の内を明かした。

 「自民党から見た時に、どちらが戦いやすいのか。岡田さんのほうがやりにくいと思う」

 代表選にむけ早くも鳩山氏優勢が伝えられる中、選挙を戦うには、岡田氏が相応しいという声が上がっていた。

 さらにベテラン議員の中にも予想外の動きが出ているという情報が入った。鉢呂吉雄衆議院議員。小沢前代表のもと、選挙対策委員長としておととしの参議院選挙の圧勝を支えた補佐役だ。所属する旧社会党系グループの会合から出てきた鉢呂氏は、出席者の意向を明かした。

 「出席者は18人で、鳩山10、岡田4、態度未定が4」

 鳩山氏支持で結束しようとするグループの中、鉢呂氏ら一部の議員は、岡田氏支持を訴えた。なぜ、鉢呂氏は岡田氏を支持することになったのか。翌日、地元の北海道に帰った鉢呂氏に対して支援者からも同調する声が寄せられていた。鉢呂氏は言う。

 「小沢代表が常々私に言っているのは『選挙は勝たないといけない』という一言。まさに私は小沢路線を継承している。政党の顔として衆議院選挙に勝つのは、岡田克也氏ではないか」

 永田町では岡田氏が追い上げを図っていた。われわれは岡田氏がある有力議員を訪ねるという情報を得た。それは、藤井裕久衆議院議員。自民党離党以来、小沢前代表と行動を共にしてきた人物だ。藤井氏はどちらの候補を推すのか。藤井氏は言った。

 「僕は看板をしょっているから、どちらを応援するとは言わない」

 2人が話をした部屋の机には緊急世論調査を行なった新聞。岡田氏に期待する声が大きいと伝えていた。藤井氏も岡田氏支持に回るのだろうか。

鳩山新代表誕生
何が勝敗を分けたのか?

 一方、鳩山氏は党内の結束を重視し、小沢路線の継続を訴えていた。しかしそれが逆に傀儡と批判される。鳩山氏の陣営は、「変化」を求める流れをどう見ているのだろうか。鳩山氏の側近、小沢鋭仁衆議院議員を直撃した。小沢氏は情勢をこう明かした。