【第7回】 2010年01月14日
絶対不可能を可能にしてきた業界の風雲児
厳冬の旅行業界で挑む「新たな秘策」(下)
――ビッグホリデー社長 岩崎安利
「絶対に認めない」という運輸省を口説き
コンビニで旅行商品販売へ
次に岩崎が不可能を可能にした大きなテーマは、コンビニで旅行商品を売れるようにしたことだ。ビッグホリデーはグループにアーティストのコンサートチケットなどを扱うCNプレイガイドを抱えており、ここがコンビニとの提携戦略を進めていた。そこでコンビニでも旅行商品を売ろうと考えたのだが、運輸省(現国土交通省)は「絶対に認められない」という立場だった。
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| ビッグホリデー 岩崎安利社長 |
旅行業は1営業所に1人の旅行業取扱主任者を置くことが義務づけられており、旅行業とは集金行為、コンサルタント行為、パンフレット行為がこれにあたるとされていた。つまり、旅行業取扱主任者を介さないで旅行商品は売ることはできない、という立場だった。
岩崎は得意の粘り腰で運輸省に日参、パンフに関しては「エイビーロードだってチラシと同じでしょ。それを書店で売っているんですよ」と説得した。
コンサルに関しては「通信手段を使ってコンサルするのはどうか」と説いた。。集金に関しても「集金に銀行振り込みが使われている。コンビニはNTTの集金もやっているのに、旅行がなぜだめなのか」と一つひとつ潰していき、最終的にはこれを認めさせることに成功した。これにより、消費者は大きな恩恵を蒙ることになった。
98(平成10)年には、「小さな旅行会社とはつきあえない」と言っていたJRグループに対し、「とりまとめはビッグホリデーがやりますから」と説得、委託販売会社に承認された。これにより中小旅行業者は「びゅう」商品を販売することが可能になった。さらには駅の「びゅうプラザ」でビッグホリデーの商品を扱ってもらえるようにもなった。これは異例のことだった。
インターネット業者も苦戦
厳冬の旅行業界で大改革に挑む
かつて北海道、沖縄旅行など「一生に一度」のことだった。そのため、このときの団体旅行のメリットは、「安くて効率的に観光地巡りができる」ことだったのである。
しかし時代とともに、海外も含め、家族単位での旅行が増えてきた。旅行の目的は従来の名所・旧跡めぐりから、文化・教養やボランティアなど多種多様になってきた。かつてのようなハワイ、沖縄への団体旅行などなくなってしまった。
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著者プロフィール
- 湯谷昇羊
(経済ジャーナリスト)
経済ジャーナリスト。鳥取市出身、1952年生まれ。法政大学経済学部卒業。1986年にダイヤモンド社入社、2004年週刊ダイヤモンド編集長。2007年営業局長兼論説委員、同年取締役。2008年同社退社。2000年に立命館大学客員教授として教鞭をとる。 主な著書に、「迷走する銀行」、「生保危機の真実」、「会社再建」(いずれもダイヤモンド社刊)、「サムライカード、世界へ」(文春新書)などがある。最新刊は「立石一真評伝 『できません』と云うな」(ダイヤモンド社刊)。
この連載について
経済危機後の今も好調・堅調な業績をあげる経営者たち――。しかし、彼らは順風満帆にこの地位を築いてきたわけではない。どのように逆境を乗り越え、成功を導いてきたのか。経営者たちの「不屈の精神」に迫る。
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