晴れて入社した後、就職活動時を振り返り「面接のとき、ああすれば良かったのか…」と気付かされることは多いだろう。また、社会人経験を積んだ後の転職活動では「いくらかましになる」と思いきや、やはり「面接」という非日常での戸惑いは大きいようだ。
ダイヤモンド・オンラインでは男女20代~30代の読者516人を対象に、『転職活動時の面接でのふさわしい態度』について調査を実施。「面接で飲み物を勧められたので、普段通り、ありがたくいただいた」などの態度について、ふさわしいかふさわしくないかを「Yes」「No」の2択で答える問題を18問出題した。その結果を転職のプロが考える「面接のルール」と照らし合わせたところ、回答者の多くが選んだ答えとプロの見解が大きく異なるという結果が出た。なんと約半分の問題で、見解の相違が見られたのだ。
転職理由「キャリアアップ」はNG!?
特にその差が大きかったのが「面接では前職の不満を言ってはいけない?」という質問だ。回答者の75%が「Yes(不満を言ってはいけない)」を選択。しかし、転職支援を行うリクルートエージェントの見解によると、これは「No」がふさわしいという。
リクルートエージェントは「No」の理由として、「前職の不満はタブーではない。不満を取り繕おうとする方が逆に見透かされてしまうことがあり、危険。ただ、自社で解消できないような不満を言われても、応募先では困るだけ」と述べている。対策として「自分の今の不満と向き合い、その不満をどうしたいのかを整理しておくべき」とアドバイスする。
このほかにも、「後ろ向きな理由で転職するのは印象が悪いので、面接では『キャリアアップを目指して』と言った」、「転職活動において大事なことは、まず『自分のやりたいこと』を探すこと」などの項目で見解の相違が見られた。いずれも回答者の多くは「Yes」と答えたが、リクルートエージェントの見解は「No」だった。
それぞれ、「本当にキャリアアップが目的なら、キャリアアップという言葉を使わず、応募先企業で目指す仕事に則して具体的に伝えるべき」、「まず、なぜ今の仕事をやめるのか、やめて何を実現したいのか(やめることで何か実現できるのか)を考えるべき」などと見解を示している。
社会人経験があっても
わからない「面接の常識」
また、多くの人がアドバイスを受けたことのあるはずであるこの問題に関しても「転職のプロ」との見解の相違がみられた。
「面接の最後に『他に質問は?』と聞かれて、思いつかなかったので素直に『ない』と答えた」(リクルートエージェントの見解は「No」=何らかの質問をするべき)という質問だ。
確かに、「No」と答えた読者は全体の過半数を上回ってはいたが、「転職のプロ」とは異なる「Yes」と答えた回答者は41%と少なくなかった。これに対してリクルートエージェントは、「質問が浮かばないのは関心がないか、下調べができていないと思われる」と指摘している。
不器用でも意欲を伝えることが大切と考えることもできるだろうが、何人もの応募者と接する面接官の前では基本的な「面接マナー」を身につけておくことがやはり必要。すでに社会人経験のある転職活動者ならなおさらのことだろう。
多くのビジネスパーソンでさえ迷ってしまう「面接の常識」。ちなみにリクルートエージェントが運営するウェブサイト『転職力検定』では、面接する上での“自分の常識力”を確認することができる。
※ちなみに冒頭の「面接で飲み物を勧められたので、普段通り、ありがたくいただいた」について、リクルートエージェントの見解は「No」。「勧められても飲むな、ということではないが、当然作法を見られるので、普段と同じように気楽に飲むのはNG。『失礼します』と言う、音を立てないなど、失礼なく振る舞えるようにしておくべき」。
(プレスラボ 小川たまか)