ここが変だよ日本の不動産取引
【第2回】 2017年12月12日公開(2018年7月13日更新)
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風戸裕樹

不動産売買手数料が一律「3%+6万円」は高い!?
シンガポールは手数料「1%」でも経営可能!

家やマンションなど不動産売買の手数料は、日本が「3%+6万円」が上限であるのに対し、シンガポールでは「1%」と非常に低くなっています。シンガポールほど手数料が低いと、売り主と買い主の両方から手数料を取らなければ経営できないように感じますが、実際は1%でもきちんと経営しています。その秘密を探っていくと、日本の手数料が「3%+6万円」に張り付いていることの”非常識さ”が明らかになります。第2回は「不動産売買の手数料」を取りあげます。

 日本の不動産売買の仲介手数料は、取引額に応じて3段階に分かれています。

 下表のように、手数料の上限は「3%+6万円」(消費税別、取引額400万円以上)です。住宅であれば格安物件でも取引額は400万円を超えるため、この計算式だけ覚えておけばいいでしょう。なお、取引額が200万円以下では上限が取引額の「5%」、200万円から400万円は上限が取引額の「4%+2万円」となります。

 日本の不動産売買の仲介手数料(消費税別)
取引額 上限
 200万円以下 5%
 200万円~400万円 4%+2万円
 400万円以上 3%+6万円

 ただし、これは片手取引の場合の手数料。売り主と買い主の両方から手数料をもらう「両手取引」になれば2倍の「6%+12万円」となります。3000万円の中古マンションを仲介した場合、片手なら96万円、両手なら192万円の手数料が得られる計算です。もし、1億円の高級物件なら、片手で306万円、両手なら612万円にもなるのです。

 シンガポールはどうか。不動産売買の仲介手数料は取引額の1%と定められています。しかも仲介手数料は売り主しか支払わないため、単純計算では、売り主と買い主のエージェントで0.5%ずつに分けることになります。単純に比較すれば、不動産仲介会社が得られる手数料は、日本の両手取引の12分の1以下。これで、シンガポールの不動産仲介事会社は経営しているのです。

 不動産売買にかかる費用は、こんなに違う!
  日本 シンガポール
 仲介手数料 ・3%+6万円(片手取引)
・6%+12万円(両手取引)
1%
 その他費用 なし 必要に応じ、専門家へ支払い

 シンガポールでは、日本の分譲マンションに相当する「コンドミニアム」の価格が中古物件でも1億円を下回ることがほとんどありません。新築なら3億~4億円の物件も数多くあります。それだけ高額なので手数料率が低くてもやっていけるという見方もありますがどうでしょうか。

 1億円の物件を扱えば、手数料は100万円。それを売り主と買い主のエージェントで半分に分けると50万円は得られる計算です。「やはり50万円程度では、商売にならない」と日本の不動産仲介業者は考えることでしょう。ただし、日本とシンガポールでは不動産仲介会社の業務内容がかなり違っているため、1%でも成り立っているのです。

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日本の売買仲介は、業務内容が盛りだくさん

 まずは、不動産売買における、日本の不動産仲介会社の業務内容を見ていきましょう。実は、かなり多岐に渡ります。

 売り主側の宅地建物取引士が重要事項説明書を作成して、買い主に説明することが義務付けられています。重要事項説明書では、「対象となる宅地または建物に直接関係する事項」が11項目(不動産登記の記録、都市計画法や建築基準法に基づく制限など)、「取引条件に関する事項」が8項目(売買代金、契約解除、違約金など)、「その他の事項」1項目が記載されます。

 さらに分譲マンションの場合は、建物の維持修繕の実施状況など10項目の情報も記載する必要があります。2018年4月に改正宅建業法が施行されると、中古住宅の場合は「建物状況調査(インスペクション)実施の有無」などの項目も新たに追加されます。

 これだけの情報を責任を持って調査したうえで、物件情報をインターネットや情報雑誌で広告・宣伝し、問い合わせや物件見学などに対応し、売り主への報告も行わなければなりません。

 かなり骨の折れる作業であるため、「地方の空き家」など低価格物件の売買仲介では、業務内容に対して仲介手数料が安すぎるため、不動産仲介会社が物件を取り扱わないという問題が生じています。例えば、売却価格が500万円の不動産なら、手数料はわずか21万円です。21万円で上記の業務をすべて行うのは難しいでしょう。

 一方で、マンションなどスペックが均一である不動産の場合は、土地や一戸建てに比べて、業務量が非常に少ないことは容易に想像できるでしょう。それなのに、手数料は一律「3%+6万円」で上限に張り付いています。

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シンガポールでは、売買に関する業務を分業化

 一方、シンガポールでは、日本の重要事項説明書に相当する事項はエージェントの業務ではありません。売買契約及び重要事項説明に関しては弁護士が売り主と買い主の双方から話を聞いて作成します。建物の状況が心配であれば、仲介手数料を払う必要がない買い主がインスペクター(建物検査技術者)を雇って調査します。ちなみに、賃貸借では重要事項説明のようなものはありません。

 エージェント、弁護士、インスペクター、アプレイザー(不動産鑑定士)など専門家の役割がきちんと分かれていて、売り主、買い主は必要に応じて専門家に仕事を依頼して手数料を支払う仕組みとなっています。それらの手数料を加えると、仲介手数料の1%だけでは済みませんが、費用と業務内容の透明性は確保されていると言えるでしょう。これなら納得して手数料、その他諸費用を支払えますよね。

 こうした商習慣の違いから、シンガポールでは、エージェントの役割は不動産物件に関する「知識」よりも、売り主や買い主に対する「共感」だと言われています。いかに契約者に寄り添って不動産取引をサポートするかが重要なのです。そのため、シンガポールでは女性のエージェントが非常に多く、7割ぐらいを占めているだろうと思います。

日本のような一律の手数料は、実態と乖離

 不動産取引では、売り主と買い主では不動産仲介会社に求めるサービス内容は異なります。それなのに日本では、売り主と買い主にどちらも一律、「3%+6万円」という同額の手数料を請求しています。その根拠はどこにあるのでしょうか。

 また、売却する不動産の種類によって、業務内容は簡単だったり、複雑だったりします。ところが日本では、不動産仲介会社が一律で3%+6万円もの手数料をとります。両手取引であればその倍です。手数料を多少割引する不動産仲介会社も出てきましたが、まだそれは一部です。こうした実態に即していない商慣行は”非常識”ではないでしょうか。少なくとも、あまり納得できる手数料ではないですね。

(編集協力=ジャーナリスト・千葉利宏)

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<不動産売却の基礎知識>
相場を知るために、まずは「一括査定」を活用!

 不動産の売却に先駆けて、まずは相場を知っておきたいという人は多いが、それには多数の不動産会社に査定をしてもらうのがいい。

 そのために便利なのが「不動産一括査定サイト」だ。一括査定サイトで売却する予定の不動産情報と個人情報を入力すれば、最大6社程度から査定してもらうことができる。不動産の相場観が分かるだけでなく、きちんと売却してくれるパートナーである不動産会社を見つけられる可能性が高まるだろう。

 ただし、査定価格が高いからという理由だけでその不動産会社を信用しないほうがいい。契約を取りたいがために、無理な高値を提示する不動産会社が増加している。

 「大手に頼んでおけば安心」という人も多いが、不動産業界は大手企業であっても、売り手を無視した手数料稼ぎ(これを囲い込みという)に走りがちな企業がある。

 なので、一括査定で複数の不動産会社と接触したら、査定価格ばかりを見るのではなく、「売り手の話を聞いてくれて誠実な対応をしているか」、「価格の根拠をきちんと話せるか」、「売却に向けたシナリオを話せるか」といったポイントをチェックするのがいいだろう。

 以下が主な「不動産一括査定サイト」なので上手に活用しよう。

■相場を知るのに、便利な「不動産一括査定サイト」はこちら!
◆HOME4U(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、ビル、アパート、店舗・事務所
掲載する不動産会社数 900社 不動産一括査定サイト「HOME4U」の公式サイトはこちら
サービス開始 2001年
運営会社 NTTデータ・スマートソーシング(東証一部子会社)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、日本初の一括査定サービスであり、運営会社はNTTデータグループで安心感がある点。弱点は、提携会社数がやや少なめであること。
HOME4U公式サイトはこちら
◆イエウール(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1400社以上 不動産一括査定サイト「イエウール」の公式サイトはこちら
サービス開始 2014年
運営会社 Speee
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、掲載する会社数が多く、掲載企業の一覧も掲載しており、各社のアピールポイントなども見られる点弱点は、サービスを開始してまだ日が浅い点。
イエウール公式サイトはこちら
◆LIFULL HOME'S(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、倉庫・工場、投資用物件
掲載する不動産会社数 1692社(2018年8月)
サービス開始 2008年
運営会社 LIFULL(東証一部)
紹介会社数 最大6社
【ポイント】強みは、匿名査定も可能で安心であるほか、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」が運営している点弱点は大手の不動産仲介会社が多くはないこと。
LIFULL HOME'S公式サイトはこちら
◆リビンマッチ(旧スマイスター、不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫
掲載する不動産会社数 1400社 不動産一括査定サイト「スマイスター」の公式サイトはこちら
サービス開始 2006年
運営会社 リビン・テクノロジーズ
紹介会社数 最大6社(売却6社、賃貸、買取)
【ポイント】強みは、掲載している不動産仲介会社数が多く、マンション、戸建て、土地以外の工場、倉庫、農地も取り扱いがある点。弱点は、運営会社が広告代理店で上場していないこと。
スマイスター公式サイトはこちら
◆イエイ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション、戸建て、土地、投資用物件、ビル、店舗、工場、倉庫、農地
掲載する不動産会社数 1000社 不動産一括査定サイト「イエイ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2007年
運営会社 セカイエ
紹介会社数 最大6社
【ポイント】 強みは、サービス開始から10年以上という実績があるほか、対象となる不動産の種類も多い。「お断り代行」という他社にないサービスもある。弱点は、経営母体の規模が小さいこと。
イエイ公式サイトはこちら
◆マンションナビ(不動産一括査定サイト)
対応物件の種類 マンション
掲載する不動産会社数 900社超、2500店舗 不動産一括査定サイト「マンションナビ」の公式サイトはこちら
サービス開始 2011年
運営会社 マンションリサーチ
紹介会社数 最大9社(売却・買取6社、賃貸3社)
【ポイント】 強みは、マンションに特化しており、マンション売却査定は6社まで、賃貸に出す場合の査定3社まで対応している点。弱点は、比較的サービス開始から日が浅く、取扱い物件がマンションしかない点。
マンションナビ公式サイトはこちら
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