「居ながらリニューアル」で、丸の内の街並みまで変えた。街と一体となった2棟にまたがる本社オフィス<br />晴れた日の昼間には自然光がふんだんに差し込む

「パレードの最後に仲通りで撮影した選手の皆さんの集合写真を後から見たとき、ショックを受けました。道の両脇のビルの2階というのは意外に目立つのですが、当社のオフィスは普段、全ての窓にブラインドを下ろしていたんです。当時、窓際には部門長や役員などが窓に背を向けて座っていたこともあり、背後のブラインドを下ろしておくことに対して特に気にしていませんでしたが、それを外の仲通りから眺めるとどう見えるのか、考えていなかった」

このように述懐するのは平野参事。窓の全てをブラインドで遮った暗くて閉鎖的なイメージ。それは、MJPMが注力してきた“オフィス街から目抜き通りへ”という丸の内エリアの活性化に背くものだった。「街は変わっていたのに、自分たちは変わっていなかった──」(平野参事)。

丸の内仲通りを挟んだ2棟のビルの2階を、視覚でつながるオフィスに

「居ながらリニューアル」で、丸の内の街並みまで変えた。街と一体となった2棟にまたがる本社オフィス<br />時に、丸の内仲通りを挟んでのコミュニケーションも

当時の本社オフィスについての認識は、丸の内第一営業管理部の池田良副主査の言葉に集約されている。「たとえ古い建物でも、オフィス内部の機能性を高め、ビルの外観や街並みの魅力を増すことが私たちのビジネスであり得意技であるのに、自分たちの本社でそれができていなかった。そのことに気付いてみんな、がくぜんとしたということです」。

こうしたさまざまな要因にコロナ禍による働き方の激変も加わり、MJPMでは20年4月、本社オフィスの刷新についての検討がスタートした。このプロセスでは、感染拡大防止のための出社制限という大きな制約の中、若手・中堅社員から経営層までがディスカッションに参画。総務部のみならず、経営企画部、働き方改革推進部、技術統括部、丸の内第一営業管理部などの社員も加わった部署横断のプロジェクト推進チームが、社員アンケートなども踏まえてリニューアルプランを策定した。

このプランの基本となるコンセプト“Open the Blinds”の目指すところは、窓のブラインドも心のブラインドも開放し、社員がもっと生き生きと働けること、その働く姿で街に活力を与えるオフィスにすることだ。

「居ながらリニューアル」で、丸の内の街並みまで変えた。街と一体となった2棟にまたがる本社オフィス<br />基本コンセプトは“Open the Blinds”。窓のブラインドも心のブラインドも開放し、社員同士のコミュニケーションを活性化させる

実はプロジェクト開始当初の時点で偶然、仲通りビルの3階に空きフロアが出る見通しとなり、二丁目ビル側のオフィスをそこに移転させて一つのビルに本社を集約する案も浮上した。だが、上下階での集約では、物理的な距離は近いものの互いの様子が分からない。

そのため、コミュニケーション促進につながらないとの判断に至り、あえて集約はせずに、二つのビルに「分散」という考え方から、仲通りを中庭に見立て、ブラインドを開け放ち「仲通りも含めて二つのオフィスを疑似的な1フロアとして捉える」という発想の転換を行ったのだ。

また、両オフィスのメイン動線をあえて窓際に配置して社内の立ち働く姿を仲通りや向かい側のオフィスから見えやすくし、社員同士のコミュニケーションを活性化させる仕掛けを行った。

これらのコンセプトに基づいて、役員クラスまで含む全部署のフリーアドレス化や不要な備品・書類の大幅削減、仲通りの木々の延伸をイメージしたライン照明の設置、カフェスペースやグループ企業間の交流スペースの新設、壁やハイキャビネットの撤去、国産間伐材から作られるCLT(直交集成板)の内装・造作家具の使用や既存の什器の再活用・再配置といった取り組みもプランに盛り込まれた。