富士ビジネスのプロジェクトマネジメントにより「居ながらリニューアル」

「居ながらリニューアル」で、丸の内の街並みまで変えた。街と一体となった2棟にまたがる本社オフィスオフィスと工期を分割し、一時移転はせず勤務を続けながらの「居ながらリニューアル」を行った

社内で策定されたプランに基づいてグループ企業の「メック・デザイン・インターナショナル」に設計を委託。MJPMの本社リニューアル工事は21年2月に始まった。翌22年3月末の完了までに、二つのビルに広がる計4800平方メートルのオフィスを刷新したのだが、ここで注目すべきは、社員や業務を外部に一時移転させることなく、オフィス内での移転だけで工事を進める「居ながらリニューアル」を実現させたことである。

鍵となったのは、オフィスと工期を5エリア・5期に分けて段階的に進めていくこと、コロナ対策による社員の出社制限や夜間の施工を“活用”することなどだが、もう一つ、プロジェクトマネジメント(PM)を富士ビジネスに任せたことも大きいと、技術統括部の池谷望主査は評価する。

「PMも自前(自社あるいはグループ企業)でやったらどうかという声も出ましたが、当社のプロジェクトチームの中心メンバー4人は兼務で、別に本業を抱えていました。予算管理やスケジュール管理、各施工会社さんとの調整などのマネジメントを経験豊富な富士ビジネスさんにお願いしなければ回りませんでした」

富士ビジネスは着工前、プラン作成の段階からプロジェクトチームのサポートを始めており、「重要な決断をしなければならないときも支えてもらった」と池谷主査は明かす。また、着工後の現場レベルでの技術支援でも同社の支援が有効だった。例えば前述の新素材=CLTは本来、床に用いられる構造材なのだが、今回の本社リニューアルではこれを内装や家具などに用いる設計となった。

「グループ会社のMEC Industryの鹿児島にあるCLT工場から現物を取り寄せて、これまでにない使い方に対して施工方法の検討を繰り返し行い、設計図に近い形で実現できたのも富士ビジネスさんのおかげでした」(池谷主査)

「居ながらリニューアル」で、丸の内の街並みまで変えた。街と一体となった2棟にまたがる本社オフィス夜は落ち着いた雰囲気に。丸の内仲通りのイルミネーションも見ることができる

富士ビジネスとのタッグにより、丸の内の二つのビルを舞台としたMJPMの本社オフィスリニューアルは予定通りに無事完工。22年4月から新オフィスでの業務がスタートした。そこで働く社員や役員、そして自分自身によるフィードバックについて、前出のプロジェクトチームの4人から教えてもらおう。

「総面積は増えておらず、そこで働く社員は以前の540人から710人に増えたのに、以前よりオフィスが広くなった、明るくなったという反応が目立ちます。“Open the Blinds”や高い壁や什器の一掃などで空間が広がったことによる効果が大きいのでしょう」(技術統括部・池谷主査)

「フリーアドレス化や共用スペースの増加、動線の見直し、二つのビルの間の見通しの改善などによって社内・グループ内のコミュニケーションが部署を超えて活性化してきたという声を聞きます」(丸の内第一営業管理部・池田副主査)

「フレックスタイム制があっても、以前のセクション別の島型レイアウトでは保育園に子どものお迎えに行くための早めの退社時に同僚全員におわびするようにあいさつをしなければならず、毎日心苦しい思いをしていました。でも、事務所全体で多様な働き方が認められている今のオフィスではそれがなくなり気持ちが楽になった──と話してくれた女性社員がいました」(働き方改革推進部・中村推進ユニット長)

「以前のオフィスでは、資料や備品が集められている自分の部署の島に社員が集まってコミュニケーションが広がらない“こたつ化”が目立っていましたが、今ではかなり解消されてきたようです。オフィスのリニューアルで会社のカルチャーが変わりつつある」(業務企画部兼経営企画部・平野参事)

新オフィスを丸の内仲通りから見上げての変化は? 実際に通りの中央を歩いてみると、両側のビルの2階のブラインドが全部下りたままだった頃を知らなくても、はっきりと感じられる──これは今までの丸の内にはなかった、新しく開かれた景色だと。それを生み出したのは、MJPMの構想力と富士ビジネスの実現力なのである。

・第35回日経ニューオフィス賞 ニューオフィス推進賞受賞
・日本空間デザイン賞2022 Longlist 入賞
・IDA賞(International Design Awards)Honorable Mention
設計:メック・デザイン・インターナショナル
写真:ナカサアンドパートナーズ 梅津聡、阿部昌也

●問い合わせ先
富士ビジネス株式会社
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