非効率な経費精算に悩まされていた理経を救ったのは、支出管理の最適化をワンプラットフォームで実現するTOKIUM(トキウム)が開発した経費精算システム「TOKIUM経費精算」だ。

スマホで領収書を撮影してしばらく待つと、支払金額やインボイス登録番号といった領収書の記載情報がスマホの画面上に反映される。それを基にして、経費申請をスマホ上で手軽に完了できるシステムだ。領収書の原本の提出を会社に求められる場合は、申請完了後の出社時に、社内に設置された専用ポストにただ投函しておけばいい。経費の承認者も押印は不要で、スマホやパソコンから承認を完了できる。

とはいえ、スマホからアクセスできる経費精算システムは他にもある。その中で、TOKIUM経費精算は何が優れているのか。百聞は一見にしかずというわけで、TOKIUMの協力を得て実際に使ってみた。

スマホ専用アプリで申請!
オペレーター入力で高いデータ化精度を実現

まずはTOKIUMのスマホ専用アプリをダウンロードする。テストIDを発行してもらい、ログインすると、画面に出てきたのは領収書のデータ化時間の目安だ(下の画面〈1〉)。

TOKIUM経費精算は、他の経費精算システムのように、領収書の情報をOCR(光学式文字読み取り装置)と呼ばれるツールで読み取るのではない。2000人以上の専任オペレーターが目で読み取って、99%*という高い精度でデータ化している(*TOKIUMの規定の条件を満たした書類における、対象項目あたりの精度)。今どきアナログな手法だが、実はこれがTOKIUMの大きな差別化ポイントとなっている。

オペレーターが入力するとなると、時間がかかるのではないか――。そんな懸念が頭をよぎるかもしれないが、データ化にかかる時間は、意外にも5分強(中央値)である。加えてデータ化までの目安時間が状況に合わせて表示されるので、やきもきせずに待てそうだ。

さて、準備は整った。画面下の「自動」をタップして領収書の撮影に進む。アプリ初回使用時に表示される“データ化に失敗しない写し方”の通りに撮影して画像を登録すると(上の画面〈2〉)、いよいよ自動入力&データ化が始まった(下の画面〈3〉〈4〉)。

当然といえば当然だが、領収書に記載のない情報は自動入力できない。例えば勘定科目は自分で選択する必要があるので、画面上で「経費科目」をタップしてみると、「接待飲食費(1人あたり10000円以上)」「打合せ時のカフェ代」など、親しみやすく具体的なワードが出てきた。

これらはあくまでも今回試した“テスト環境”の設定だが、実際にシステムを導入する場合も、経費科目は会計知識のない経費申請者にも分かりやすい名称で表示させることができるという。経理のような会計知識がある社員が見る場合には、それらの名称にひも付く正確な勘定科目が表示される形だ。

TOKIUMが表示についてこうした“ひと手間”を惜しまないのは、小難しい勘定科目を並べることで、申請者によるミスを誘発させないためだ。精算したい経費の勘定科目が分からなくても、難なく申請手続きを行える設計にしている。誰でも簡単に利用できるシステム構築を目指すのは、利用対象者が幅広い家計簿アプリの開発を祖業とするTOKIUMならではのこだわりだ。

全ての必要項目のデータ化が終われば、送信ボタンを押して経費申請完了である(上の画面〈5〉〈6〉)。今回は手書きの領収書を例に申請を試してみたが、領収書がきちんとデータ化できているのが分かる。OCRだと間違いが発生しやすい手書きや文字の薄い領収書のデータ化でも高い正確性が期待できるのは、TOKIUM経費精算の確かなる強みだ。

さらにTOKIUM経費精算は、交通費の“サクッと申請”にも対応している。

交通費といえば、面倒な経費申請の代表格だ。申請者が経路をいちいち検索して算出した申請金額を、経理担当者が同じように検索し直して確認しているケースが少なくない。それがTOKIUM経費精算ならば、乗車駅と降車駅を選択するだけで料金の自動計算が可能。交通系ICカードと連携させれば、定期券区間の料金を自動控除しながら、利用履歴を用いて申請を行うこともできる。ICカードがない場合も、TOKIUM経費精算のアプリ内でルート検索すれば自動で交通費の入力を完了させられる。

導入企業からの評判は上々だ。「TOKIUMのシステムを導入してからは、営業担当者が直接、経費申請するのが当たり前になったので、営業アシスタントたちの介在が不要になりました。おかげで毎週月曜の経費精算タイムがなくなり、アシスタントもとても喜んでいました。煩雑な作業から解放されたのはもちろん、これからは月曜にも気兼ねなく有給休暇を取れそうだというわけです」(古田取締役)。

また自宅や出張先など、社外からでも時間を問わず、スマホで手軽に経費申請できるようになったため、月曜の午後に集中していた経理部門への申請も分散。経理担当者の業務負荷が著しく軽減された。TOKIUM経費精算に置き換えたことは、理経にとって大正解だったようだ。

経費精算システムの中には、経費精算処理が完全電子化しておらず、紙をベースにしたやりとりが残っていたり、仕様上、スマホに対応していなかったりするものもある。TOKIUMはそうしたシステムの一歩先を常に行くべく、システムのアップデートにも余念がない。あくなき利便性・操作性の改善によって見据えるのは、社名の由来にもなった「時を生む」――つまり、無駄な時間を減らし、未来へつなぐ有意義な時間を創出するシステムの実現だ。

それにしても、TOKIUMはどのようにして、こうした利用者志向の高いシステムの提供を可能にしているのか。以下ではTOKIUMが構築した経費精算システムの独自の仕組みをひもとくとともに、同社システムによって経理担当者が享受できるメリットなどについて探っていく。