新経営方針を発表、四半期ベースで黒字転換を果たす

ハイブリッドカジュアルゲームとは、広告と課金の混合収益モデルを採用するカジュアルゲーム(無料ゲーム)のこと。通常の無料ゲームは、プレーの合間に広告を表示することで収益を得るが、ハイブリッドカジュアルゲームは、遊べる回数を増やしたり、アイテムを手に入れたりするためのプレーヤーの課金も収益源となる。

海外市場では、このハイブリッドカジュアルゲームが人気を博していることから、東京通信グループもここ数年、開発・リリースを強化してきた。

ところが、無料ゲームと比べて作り込みを要するハイブリッドカジュアルゲームの開発には、より多くの工数とコストがかかる。

「そのため、大きな収益源であった無料ゲームの開発にもしわ寄せが及び、売上高の6割強を占める『メディア事業』の収益が大きく落ち込みました」(古屋CEO)

その他の事業においても、「電話占い」や「恋愛相談」「Picrew」のように業績が好調なものがある半面、思うように業績が伸びていない既存事業や新規事業もあった。

特に22年以降、新規事業投資をそれまで以上に積極的に推進してきた結果、コスト負担が重くなり、これも3期連続赤字の大きな原因の一つとなったことは否めない。

そこで東京通信グループは、24年11月に新たな経営方針を発表。不採算事業を整理することで経営の健全性と透明性を高める一方、今後の新規事業については、自前でゼロから事業を起こすのではなく、原則として有望な事業をM&Aし、それを育て上げていくという方針に転換した。

つまり、“成長の方程式”に沿った新規事業の創出を、新たな経営方針として明文化したのである。

「自前で新規事業を立ち上げるのには、相応のコストとリスクが伴います。幸い、当グループには、ティファレトとテトラクローマを子会社化して“外の事業”を取り込み、グループ力で大きく成長させた成功体験があるので、そのノウハウを生かしながら新たな新規事業を生み出していきたい」と古屋CEOは抱負を語る。

東京通信グループは、ベンチャーキャピタルなどの投資事業も展開しており、有望なスタートアップを見立てる力を持っていることも、“外の事業”を取り込みながら成長する上での強みとなるはずだ。

新経営方針の発表直後から、ハイブリッドカジュアルゲーム事業の縮小や、不採算事業の切り離しなどを進めており、24年12月期の第4四半期には、早くも四半期ベースでの黒字転換を果たしている。

古屋CEOは、「財務的な健全性や透明性は徐々に回復しつつあるので、これを基盤に既存事業の拡大と戦略的なM&Aに取り組んでいきたい。これからの東京通信グループの成長に、ぜひご期待ください」と語った。

※1 Sensor Towerのスマートフォンアプリ統計データ「日本企業ゲームダウンロード数ランキング(日本市場/Android,iPad,iPhone統合データ) 対象期間:2021年1月1日~2023年12月31日」にて第1位

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