間もなく世界中で、ミレニアル世代(Y世代)がリーダーの地位に台頭してくる。1980年代初頭~90年代後半生まれのこの世代について、INSEADを含む研究チームがかつてない大規模調査を実施。7つの地域で大きく異なる彼らの仕事観を報告する。

 

 ミレニアル世代(1980年代初頭~90年代後半生まれ。Y世代とも言われる)のリーダーが世界中で増えていくなか、企業は彼らの成功をどう後押しすべきかについてますます気に掛けるようになっている。しかし、この世代に関する従来の調査のほとんどは、主に欧米の、ごく一部の人々のニーズに着目したものだった。グローバルなビジネス環境でミレニアル世代のリーダーを惹きつけ、維持し、育成するうえで、このような限られたサンプルに基づく結論は誤った判断を招きかねず、好機を逸することにもつながる。

 ミレニアル世代が仕事で求めるものについて、もっと幅広い理解を得るために、INSEADの新興国市場研究所、ユニバーサム(人材調査および雇用主ブランディングを支援するコンサルティング会社)、ヘッド財団の3者が共同で調査を実施した。この種の調査としては過去最大規模であり、今後毎年実施される予定である。調査対象は、アジア太平洋、アフリカ、ヨーロッパ、中南米、中東、北米の43カ国に住む18~30歳の男女16,637人だ。データは2014年5月から8月の間に収集され、その結果はMillennials: Understanding a Misunderstood Generationと題した報告書で発表されている。

 データには限界もある(たとえばサンプルの無作為抽出はできず、地域/国によって回答数に差が生じた)。しかし回答者数の多さと対象地域の広さのおかげで、明確なパターンが見えてきた。リーダーの地位を目指す野心、ワーク・ライフ・バランスの重要性、引退時期に関する希望などについての質問に対して、予想通りの反応もあれば意外な傾向もあった。だが最も重要な発見は、ほぼすべての事項について文化によってかなりの違いが見られたことだろう。以下に主な結果を示したい。

●ミレニアル世代はリーダーの地位に関心はあるが、その理由はさまざま
 回答者全体の約40%が、マネジャーやリーダーになることは「非常に重要である」と答えた。国別に見ると、日本の8%からインドの63%まで大きな幅があった。リーダーを目指す理由――高収入、コーチングの機会、キャリア形成等――も、文化によってさまざまであった。

「高収入」は世界的に最も有力であったが、その割合にはかなり幅がある。中欧・東欧では回答者の半数が選んだのに対し、アフリカではたった17%あった。アフリカのミレニアル世代にとって最大の関心事は、「他者にコーチングとメンタリングを施す機会が得られること」だった(46%)。この傾向は他の地域と共通ではなく、アジア太平洋、中欧・東欧、中東では25%未満であった。

 また、「組織への影響力」については中欧・東欧と北米では半数近い回答者が選んだが、アジア太平洋と中東ではおよそ4人に1人であった。企業はインセンティブの制度やリーダーシップ開発のプログラムを策定する際に、こうした結果を考慮に入れるべきである。