混乱を極める教育現場
2月27日、安倍晋三首相の政治判断による突然の「休校要請」から始まった全国の小中高校の教育現場での混乱。当初、休校期間は3月2日から春休みに入るまでとされていた。3月19日に感染が確認されていない地域では学校の活動を行ってもよいとする見解が専門家会議から示されたため、直後に迫った終業式や卒業式をどうするかで各校は対応に悩むことになった。
3月24日に文部科学省から教育委員会に通知された学校再開に向けた指針は、春休み明けの4月初旬から始まる新年度に適用されるはずだった。東京都は都立高校の休校を5月6日までにすることを早々と決めていたが、隣の千葉県では4月6日からの学校再開に向けて3日金曜日の段階まで動いていたものの、直前になって4月末までの休校延長を県知事が発表するなど、先生方も生徒も振り回されてしまった。
4月7日、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言が発令されたことにより、様相が一変する。この時点で東京の感染者数は1000人を超え、都知事の口からロックダウン(都市封鎖)といった仰々しい言葉も発せられていた。緊急事態宣言の対象地域は東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏1都3県と大阪・兵庫・福岡で、期間は4月8日からゴールデンウイーク最終日の5月6日までの1カ月間となった。
こうした状況を受け、首都圏1都3県の中高一貫校を含む私立高校に、コロナウイルス対策の各校の取り組みについて、緊急アンケート調査を実施した。4月6日から10日の間に、対象となる学校の半分、211校(うち中高一貫校は158校)からご回答いただいた。内訳は、東京136校、神奈川36校、埼玉15校、千葉24校となる。その結果を踏まえながら、この未曽有の事態について考えてみたい。
2020年度の始まりとなる入学式と始業式。直前まで生徒だけで実施するといった検討もなされていたが、都立高校は入学式を取りやめた。在校生は6日に始業式が行われ、休校期間中の課題がその時点で結構な量、与えられている。
行政からの要請で変更もあるという前提で、いつから学校での授業を再開する予定なのか尋ねたところ、5月7日が137校と最も多く、次いで11日が26校となった。吉祥女子(東京・武蔵野市)では7日から9日の間に入学式と始業式を入れる方向で検討中であり、東京家政大学附属女子(東京・板橋区)は7日始業式・8日入学式(午前が中学、午後が高校)で、いずれも5月11日からの授業開始を予定している。12日以降は7校あり、明治大学付属明治(東京・調布市)は18日からと余裕を持って設定している。