急遽脚光を浴び始めたICT教育
一方で、4月中の授業再開を15校が模索していた。6日現在で14日からの授業開始を検討、それが不可能な場合には20日から、それもダメなら5月7日からと三段構えで向き合っていた神田女学園(東京・千代田区)などはこうした学校の典型かもしれない。結局、当面の間(5月6日まで)、自宅学習期間となった。Google Meetを使い、13日以降に課題を与えるなど手を打っていくことになる。
すでにホームルームをリモートで行なっており、ICT(情報通信技術)を利用した授業の準備に早くから着手していた三田国際学園(東京・世田谷区)は13日から在宅での授業を始めた。
青山学院横浜英和(横浜市南区)は、4月8日からオンラインで毎朝ホームルームを実施することで、生徒が規則正しい生活を送れるよう取り組んでいる。年度初めの1カ月間をどのようにしようとしているのか、各校の対応策を見てみよう。
次に、登校できない期間中に学ぶ手段として、在宅の自主学習用に課題を与えて提出させるのかを尋ねた。211校中174校は何らかの課題を出すとしている。都立高では新入生にレターパックで入学許可証と宿題が届けられている。ある進学重点校の場合、1日10時間学習を目指す量の課題が教科ごとに詰め込まれていた。中には読書課題もあるのだが、公立図書館で予約しようにもすでに数人待ちという本もあり、周辺の書店は臨時休業中と対応に苦慮している。
211校中、約3分の2にあたる136校がICTを活用した授業を実施すると回答した。その場合には、生徒の側で対応可能な端末を保有していることが前提になる。例えば千葉県立の高校は、校内に1人1台どころか、コンピュータ室の1クラス分しかパソコンは設置されておらず、生徒用のノートパソコンやモバイル端末などはないため、ICTを活用した授業の実施は不可能である。
私立高校はこうした新しい取り組みに積極的といえる。関東学院六浦(横浜市金沢区)では、ICT教材で課題を配信している科目もあれば、授業をオンラインで⾏っている科目もあるなど取り組みは進んでいるのだが。肝心の個人端末を中1・2生は持たされていないため、課題配布で対応する。中には先生方の講義の様子を撮影した動画を活用している学校もあるようだ。こうした点も含め、詳しくは次回、お知らせしたい。
問題はこうした授業を単位認定の対象とするかにある。回答時点で「単位認定」を考えているのは39校で、うち29校は課題も対象とするなど対応を明確にしている。
「単位認定できるか検討中」は53校あり、38校は単位化には触れなかった。「単位として認定しない」と明言するのは4校と少なかった。高校の場合、こうした遠隔授業の実施による単位は認められている。今回のコロナ対応で、さらに活用が進む契機になるかもしれない。