4位に返り咲いた鴎友学園女子(東京・世田谷区)

ベスト3は女子中高一貫校が独占

 これまでに「全国高校 国公立大合格力」と、そこから公立校のみを抽出して取り上げた「全国公立校 国公立大合格力(東日本編西日本編)」をご紹介してきた。失われた30年で実質所得が大きく低下していく中、特に地方では地元の国公立大志向が強まっている様子がうかがえた。全国区で難関国立大を目指す県立高校はごく限られた存在となっている。

 今回は「難関私立大合格力」である。私立大の場合は、複数の大学を受験でき、同一大学でも複数の合格を得ることができるため、「難関私立大合格力」はのべ合格者数で測ることになる。学校全体でいかに多くの合格を勝ち取るかが、ランキング上位に入るための条件となる。2024年私立大入試は終盤を迎えているが、ここで扱うデータは23年入試の結果であることをまずお断りしておきたい。

 対象となるのは私立14大学で、私立大の両雄である早稲田大と慶應義塾大、それに上智大と東京理科大を加えた「早慶上理」、それを追う「MARCH(明治大・青山学院大・立教大・中央大・法政大)」、関西の「関関同立(関西大・関西学院大・同志社大・立命館大)」、名古屋の南山大とした。そのため、ランキング上位は首都圏の高校が多くを占めている。

 23年のベスト3は、いずれも女子中高一貫校となった。その並び順も含め、22年と同じなのだが、3年連続1位となった頌栄女子学院(東京・港区)の合格力はさらにアップして、絶対的エースのような存在になっている。3位女子学院(東京・千代田区)の定番の併願先でもあり、2位洗足学園(川崎市高津区)ともども、帰国生が多く在籍している。

 4位には鴎友学園女子(東京・世田谷区)が返り咲いた。これまで上位には女子校が多く顔を見せていたのだが、22年6位だったフェリス女学院(横浜市西区)が大きく順位を下げるなど、15位吉祥女子(東京・武蔵野市)を加えてもベスト20に5校のみとなった。

 代わりに割って入ってきたのが公立校である。22年と同じ5位都立青山(渋谷区)を筆頭に、6位都立小石川中等教育学校(文京区)、7位府立茨木(大阪・茨木市)、8位神奈川県立横浜翠嵐(横浜市神奈川区)、10位都立桜修館中等教育学校(世田谷区)とベスト10の半分を占めている。

 男子の中高一貫校では、22年にはサレジオ学院(横浜市都筑区)が3年連続ベスト10入りしていたものの、23年は20位となった。代わりに9位にランクインしたのが、創立160周年を迎えた攻玉社(東京・品川区)である。21年6位からの返り咲きである。ベスト50のうち、私立男子中高一貫校は13校を数え、8校にとどまった女子校を圧倒している。

 図1図2に23年のベスト50校を掲載した。その7割(34校)を占めるのが国立や公立も含めた中高一貫校である。次回取り上げる「国公立大医学部合格力」では顕著だった中高一貫校の優位性は、22年に続いて難関私立大合格力でも発揮されている。

 21年大学入試は、初の新型コロナ禍と初めての大学入学共通テストとが重なった。コロナ禍明けの23年入試では、共通テスト併用型が導入される私立大入試も増加傾向にあった。また、学校推薦型選抜や総合型選抜など非一般選抜が私立大合格者の過半数となるといった入試環境の変化も含めて、この合格力ランキングを見ると、興味深い点がいろいろ見つかるかもしれない。