「アルマーニの制服」で一躍全国区の知名度となった銀座の「泰明小」。フランス門の奥に校舎、向こうに日比谷・有楽町のビルが見える

中央区の伝統校「泰明小」と「久松小」

 戦後、中央区は旧京橋区と旧日本橋区が合併して誕生した。それぞれの旧区を代表する伝統の人気校が「泰明小」と「久松小」である。

 中央区の小学校は学区制だが、特認校制度という学校選択制も実施している。区立16校のうち、生徒数の少ない5校が特認校に指定されている。募集枠内で選考に受かれば、区民ならどこからでも通える。城東小(八重洲2丁目)、京橋築地小(築地2丁目)、常盤小(日本橋本石町4丁目)、阪本小(日本橋兜町)といった具合で、いずれもオフィス街に立地している。

 1学年2クラス、全校生徒数330人ほどの小規模校「泰明小」(銀座5丁目)も特認校の1つだ。本来の学区は日本一地価の高い銀座である。銀座地域には3600人ほどが暮らすが、生徒の半分は学区外、それも勝鬨(かちどき)橋を渡った湾岸エリアから来ているといわれている。

 話題となったアルマーニの標準服は、上下一式と着替えも買えば9万円程度で、それ以前の3倍程度の負担になる。小学生の場合は成長に合わせて買い替えが必要となる点も問題化した要因だろう。区内の小学校は学校判断で各々標準服を定めている。

人形町も近い「久松小」では校舎も大型化している

 旧日本橋区の「久松小」は、1873年設立で150年近い歴史を誇る屈指の伝統校である。最寄り駅の東京メトロ日比谷線・都営浅草線「人形町」や都営新宿線「浜町」付近には新築マンションがここ数年多く建てられていることもあり、生徒数700人ほどと規模は大きい。

 ところで、中央区は京橋、日本橋、月島の3つの地域に分かれる。一時は7万人強(1997年)にまで低下した中央区の人口が倍増した要因は、湾岸タワマンを中心とした月島地区での再開発にある。いまでは区民の半分弱がこのエリアに暮らす。

 湾岸タワマンでも、月島あたりは比較的住民の年齢層が高い。学区に勝どき5・6丁目が含まれる豊海小(豊海町)のように生徒数800人近い学校もあるが、人気校とはいわれていない。晴海5丁目の東京五輪選手村跡の「HARUMI FLAG」に新設される小中学校が人気校になるかは未知数である。