緑に囲まれた「青南小」。校門付近でもいろいろな植物が育てられている

人気校が目白押しの港区

 私立小御三家の慶應義塾幼稚舎と青山学院初等部は渋谷区、学習院初等科は新宿区で、いずれも港区内にはないのだが、「お受験幼稚園御三家」の若葉会・枝光会・愛育がある港区では、私立小学校の「お受験」が盛んである。そして、お受験に敗れた子どもたちは地元の小学校に通い、今度は私立中学受験に挑むことになる。

 港区の私立中進学率は37.5%で、中央区より1.2%低い23区中の4位。区内全域で中学受験志向は高いが、とりわけ過熱しているのが白金・高輪周辺である。

 姉はお受験で幼稚舎へ、弟は高輪台小から私立共学トップ校に送り込んだ地元在住のマダムは、「枝光会出身者が公立小に進学する場合、ほとんどみんな白金小を選択していました」と語る。白金小は東京公立小御三家の1つである。一方で、学区を接する高輪台小は、「生徒は保育園と区立幼稚園組が大多数でしたが、3分の2は私立中に進学しました」(前述のマダム)というように、いまでは古い校舎が敬遠されがちな白金小と並ぶ人気校になっている。生徒数も640人弱で拮抗している。

校舎が老朽化しており、改築が待たれる「白金小」

 このエリアにある高松中と三田中が人気中学校の双璧となっている。いずれも、最寄り駅は東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線「白金高輪」で、JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」にも近く、新しくマンションが建てられ人口が増加傾向にある。

 東京公立小御三家の残り1つは「青南小」である。東京メトロ銀座線ほか「表参道」駅に近い一等地に立つ。近くには国家公務員の高級官僚向け官舎もある。

 港区では他にも人気校が多い。フランスの三色旗になぞらえた赤羽小・白金小・青南小といった呼び方もある3校の1つ、赤羽小、南麻布や元麻布、西麻布を学区にもつ笄(こうがい)小、区役所に近く学区が広い御成門小などが挙げられる。品川区同様、三光小・神応小・朝日中の3校を4年前に統合、小中一貫校化して開校した白金の丘学園も700人以上が学ぶ人気校になっている。

 また、学区内に麻布十番などを含む東町小では、7年前から国際学級を始めている。各学年10人を上限に外国人児童を受け入れるほか、1年生から英語指導を補助するEST(English Support Teacher)を担任とは別に配置している。大使館の数が一番多い港区らしい取り組みだろう。

 港区でも芝浦や港南など湾岸部では、再開発に伴いタワマンが立ち並んでいる。小学校も大規模化しており、芝浦小は1200人、港南小は1300人に迫る勢いだ。分校する形での新設も予定されており、江東区の豊洲あたりと同じような状況にある。