オンライン中間考査を実施する開成

 伝統的な男子校では、生徒間の結束を強めるため、さまざまな行事が用意されている。

 例えば、開成中学校・高等学校では、新学年が始まって早々、戸田(埼玉県)のボートコースで、筑波大学附属とのボートレースが開催される。ここで新入生は校歌とボートレース応援歌をたたき込まれ、その1カ月後には、学園最大の行事といってもいい「運動会」が行われる。全生徒が8つの組に分かれて、団体競技中心に競う。

 今年はこの運動会が開催中止になったことで、在校生はもとより、卒業生の嘆きの声がネット空間に渦巻いていた。それくらい思い入れが強い行事なのである。

 とはいえ、東大合格者数で日本一の学校だけに、受験を控えた高校生も含めれば毎月のように校内で試験が行われている。中間考査は毎年5月下旬に実施されている。

 他校が次々と中間考査の中止を決める中、開成はきっちり行う方針だ。

 3月末の段階で各学年から代表を得てICT委員会を発足、中間考査を行う前提で4月から授業を組み立ててきた。クラス単位だけでなく、グループごとに行うなどオンライン授業ならではの変化も持たせ、適宜アンケートを取り改善している。使用するシステムなどの検討もこの委員会で行っている。

 中間考査の内容は学年や教員によってスタイルが異なる。小論文を読ませてレポートを提出するといった教科もあるが、オンラインで実施するものもある。高2生で見ると、前者は6科目、後者のGoogle Formなどを用いて実施するものが10科目とこちらが過半を占め、英数理社が多いという。

 公平性の確保のための工夫もなされている。ある科目では、配布した問題用紙の文章に傍線だけ引いておき、設問は試験開始時に通知して、その場で解かせている。いまの状況が続くようなら、期末考査も同様に評価していくことになりそうだ。

 駒場東邦中学校・高等学校もまた、体育祭が重要な男子校だが、その実施についてはまだ発表していない。緊急事態宣言が出た時点で、中間試験は取りやめを決定しているが、この伝統行事の日程をにらみながら、オンライン授業や課題の提出で対応している。

 自宅学習での評価については、各教科の特性に応じて平常点で加味する方向で、7月末に何とか期末試験を行って、両者合わせて1学期の評価を出すことを考えている。実技教科は、登校再開となっても、授業や実技試験を満足な形で行うことは困難と見ており、その評価の仕方は検討中という。

 これまで見てきたように、オンライン中間考査を実施する学校は開成くらいとなるため、その成果に各校の関心が集まることになりそうだ。