海外直接進学を見据えた
新しいカリキュラムが登場

 中学受験で難関上位校に入らなくても、海外大学に直接進学する道筋は、これからも増えていきそうだ。近年、上智大への進学実績を増すなどして注目されている佼成学園女子(東京都世田谷区)は、スーパーグローバルクラスの生徒が高3時にロンドン研修を行っている。20年は中止となり、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)による3週間のオンライン講義を受講した。こうしたつながりもあってか、英国でも最難関校の一つであるこのSOASへの進学者が1人、19年に出ている。

 国本女子(東京都世田谷区)では、カナダの高校の卒業資格も得られる“ダブルディプロマコース”を20年から導入している。カナダ・アルバータ州の中学校で行われている授業を取り入れたKAISと呼ぶ仕組みの下、6年間の一貫教育を行う。現地の高校を卒業したのと同じ条件でカナダやアメリカの大学に進学できる点が最大のメリットだろう。

 立教大学への推薦枠が大幅に増えて、上位人気校となった香蘭女学校からも英国の大学へ直接進学できるルートが開けている。相互協定を結んでいる半世紀前に開校した立教英国学院という全寮制の共学校に1年間留学することが前提となる。小5から中高まで189人(2020年9月現在)の小規模なこの学校は、日本の高卒資格を得られるとともに英国の私立校でもあり、ロンドン大学、サリー大学と進学協定を締結している。一定以上の成績など資格要件を満たせば、各大学の1年間の学士入学準備コースを経て、3年間の学士コースに進学が可能だ。屈指の難関校であるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)とも進学協定を結んでいるが、こちらは大学独自の試験も課される。

 この立教英国学院経由のルートは、香蘭のほか、立教女学院、立教池袋、立教新座、立教小学校にも開放されている。いずれも英国国教会系の日本聖公会に属しており、英国との結び付きは強い。香蘭は今後、立教英国学院との連携をさらに強めることを考えている。

【訂正】記事初出時より、以下の点を訂正いたしました。
2ページ目 2段目:「UPAAに日本の学校として唯一参加しているからです」→「UPAAに日本の学校として参加しているからです」
(2021年3月9日15:50 ダイヤモンド社教育情報)