受験生のいる家庭で今からやるべきこと
小野薬品工業は昨年11月の段階で、カモスタットを用いた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象とした企業治験である第III相試験の開始を発表している。
4月15日付ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、カモスタットは米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)による外来患者を対象とした新型コロナウイルス感染症治療薬の臨床試験プロジェクト「ACTIV-2」で使用されている4つの治療薬の1つでもある。日本の当局は米国の動きにおおむね追随しており、米国で新型コロナの治療薬として承認されれば、日本でも認められる可能性が出てきた。
英国、南アフリカ、ブラジルなどの変異株やインドから英米を経由して世界中に拡散している二重変異株など、感染力が強く、強毒化したウイルスも出現している。こうした変異株に対して、既存のワクチンがどこまで有効かも未知数である。一方で、罹患者やワクチン接種者の中から、抗体がごく短期間に消えてしまう例も報告されている。これらの例に見られるような個人差が大きい点も新型コロナの特徴かもしれない。
ワクチン接種で感染を免れ新型コロナ禍も終わるような印象が喧伝されてきたきらいもあるが、ワクチンにすべてを委ねず、さまざまな手段で新型コロナに向き合っていくことが大切になりそうだ。すでに、寄生虫駆除薬や関節リウマチの治療薬、身近なところでは、高血圧症の治療薬である降圧剤にも、感染防止や重症化(死亡リスク)の抑止効果が認められる臨床データが公表されてきている。
これからもPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査を行い、陽性者を隔離して感染の拡大を防ぐことが王道となる。そのためには「密」の回避は基本であり、マスクの着用による飛沫拡散の抑制、手指の消毒なども引き続き行う必要があるだろう。
16歳以上が対象のワクチン同様、15歳以上が対象のカモスタットも小学生には使用できない。クラスターが生じやすい家庭内では、帰宅時に着替えてウイルスを室内に持ち込まないこと、手洗いや飛沫感染防止のため自宅内でもマスクを着用することくらいしかない。子どもの感染が拡大するようになると、いつものインフルエンザ同様、子から親に感染して共倒れになる危険もある。何よりも大人が感染しないよう、これまで触れたさまざまな感染抑止手段を取り込むことで万全を期したい。
「今年はどうしても家庭内学習が増えるため、親が子どもの勉強をみてあげる時間が大切になります。自分の子どもだからと考えるとケンカになってしまう場合もあります。むしろ他人の子どもを預かっているくらいの気持ちで、夫婦で役割分担をしながら、いい教師を演じるようにしてください」(森上氏)