さいたま市内人気校の入試動向
ここからは前ページの人気入試の出願状況を参照しながら見ていこう。千葉と比較して埼玉は合格を得やすい。受験生の多い入試の実倍率は2倍を下回るものが大半であり、合格体験を得るためのお試し受験で重宝されるゆえんである。
10日の栄東(第1回A日程)に次いで多くの受験生を集めている入試が、大宮開成(第1回)である。ボリュームゾーンである中位層の併願先として21年よりもだいぶ大きく伸ばしており、過去最多の2000人超えとなった。
この2校に次ぐのが、栄東と同じ学校法人の埼玉栄である。募集は医学・難関大・進学という3つのクラスに分けられている。21年に1066人だった10日午前の第1回は、最終的に1674人と5割以上増やした。大宮開成同様、22年入試で増加傾向にある中位受験層の受け皿となった印象だ。
また、第2回(10日午後)1035人、第3回(11日午前)555人、第4回(11日午後)に417人が出願しており、11日14時の段階で、13日の第5回までの志願者数合計が3993人となっており、4000人まであと一歩という大躍進である。
同じさいたま市内でも岩槻区にある開智の一貫部の場合、10日先端1は実受験者数1400人前後という人気の入試である。入試当日午前8時半までWeb出願が可能という点でも際立っている。21年減らした10日先端1は、1427人と少し盛り返した。11日先端特待は568人となっている。いずれも本校と新都心会場で行なわれた。
女子が先導する形で年々人気が上昇している青山学院大学系属浦和ルーテル学院は、埼玉では珍しい有名大学系列の共学校である。10日の第1回は、21年に実倍率4倍を超えたが、22年は242人と20年並みになっている。初日入試が4倍超では落ちに行くようなものであり、受験生には酷である。22年は実倍率が大きく低下しそうだ。
もう1校、さいたま市内では受けやすい浦和実業学園の人気も高まっており、10日の第1回午前特待と11日の第1回適性検査型が実受験者数300~400人規模となっている。第1回午前特待は男子223人、女子261人となっており、21年の各219人と193人に比して増加、特に女子の伸びが大きい。
県東部の学校はどうか。越谷市にある獨協埼玉の11日第1回は1389人で、21年の1210人、20年の1248人を大きく超えており、絶好調といっていいだろう。面倒見が良いというか、塾のように厳しく指導する学校が多い埼玉県内で、比較的穏やかな校風である。東武伊勢崎線(スカイツリーライン)を利用して、東京23区東部の下町エリアからの受験生も多い。系列の獨協医科大学への推薦枠が付与されたことも人気に拍車を掛ける要因となっている。
春日部市にある春日部共栄の10日第1回は、募集人員160人を午前と午後の入試で集めるというユニークな仕組みとなっている。21年で見ると、午前は204人、午後は227人となっており、合わせると400人を超える規模だった。