女子校再生のキーワード「国際」

 生徒募集が厳しくなってきた女子伝統校は、共学化・校名変更して新たな学校として生まれ変わる流れが、21世紀に入ってから増えてきている。中でも、新たな校名に「国際」の2文字を冠して人気化した最初の例が、三田国際学園だろう。1993年に港区芝から世田谷区用賀に移転、2015年に戸板中学校・戸板女子高等学校から現校名に変更、同時に共学化して人気が急騰した。

 戸板中高の故地で、創立120周年を機に「芝国際」に校名を変更して共学化するのが、芝4丁目にある東京女子学園である。国際と冠するだけあって、「世界標準での学びを」がキャッチフレーズであり、STEAM(Science, Technology, Engineering, Artなど多様な対象とMathematics)での学びを掲げている。

 現在、理事長補佐で開校準備室長となっている小野正人氏は、東京都市大学付属と広尾学園小石川の前身である村田女子高校の校長を務めるなど、学校改革のエキスパートでもある。宝仙学園共学部理数インターやかえつ有明高校の立ち上げ時に関わってきた開校準備室副室長の山崎達雄氏とタッグを組んでいく。

 この秋にも竣工予定の12階建てとなる新校舎の7階から10階には、東京女子学園の関係者が立ち上げたサイエンス特化の「ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス」が入居するなど、新しい形での協同も進められていく。

 もう一つの「国際」が、学園の設立母体である扶助者聖母会(サレジアン・シスターズ)の名前を冠して23年から共学化し、サレジアン国際学園世田谷となる目黒星美学園(世田谷区)である。姉妹校の星美学園(北区)は22年から一足先に共学化し、サレジアン国際学園となっている。いずれも付属の人気小学校を持ち、これまで他校に進んでいた男子も取り込むことになる。最寄りがJR赤羽駅と東京メトロ南北線赤羽岩淵駅のサレジアン国際も、初年度から東京湾岸や港区などこれまであまり在校生のいなかったエリアからの志願者が集まるなど、手応えを感じている。

 やはり22年に募集再開と合わせて校名変更・共学化をした千代田国際も、生徒像が一変した。こちらは日野田直彦校長と森上展安氏による対談記事をご覧いただきたいが、PBL教育と海外大学への直接進学を明確に掲げている点に特徴がある。

「国際」を冠していなくても、新しい教育を大胆に取り入れて改革の実績を持つ校長などが吸引力を持ってアピールする学校は、「グローバル系」とも呼ぶことができよう。広尾学園を筆頭に、元女子校のリニューアル校がその多くを占めている。23年に「国際」を冠する港区と世田谷区の2校については、これからも注目してお伝えしていきたい。

 もう一校、こちらは高校のみだが「国際」を冠して、24年から羽田国際となる予定の学校が、昨年創立80周年を迎えた蒲田女子(大田区本羽田)だ。現状では全入状態でも在校生数は定員の2割程度という状況にある、現在、新校舎も建設中で、今回の校名変更と同時に行われる共学化は起死回生の策となる。