男女別学で人気の学校と2024年の動向

 2023年は男子校も女子校も受験生を増やした学校がほとんどだった。では難関校から順に、改めて23年入試の状況を見ていこう。

 開成はここ数年で最大の出願者数と受験者数を記録した。男子難関・準難関校では、芝と桐朋の復調が顕著だった。また、海城が受験者数を引き続き増やし、御三家に対する女子校でいえば豊島岡女子学園のような位置にあることが強く印象付けられた。

 女子の東京御三家では、桜蔭の勢いがさらに増している。その原動力は医学部医学科への進学実績であろう。併願先として姉妹校的な存在の豊島岡女子学園は、国公私立合わせた医学部医学科合格者数が、全国最多の東海(名古屋市)に比肩するほどになっている。このように、女子の医師志向の強さに衰えはないようだ。

 男子校では、東京の佼成学園の勢いが強かった。神奈川では、1日午前の一次入試の募集人員を前年より40人増の100人に増やした鎌倉学園も人気で、逗子開成やサレジオ学院も好調だった。女子校では、神奈川のカリタス女子と湘南白百合のカトリック校コンビが極めて好調だった。

 MARCHの付属校は安定して高倍率を保っている。青山学院横浜英和は女子の受験生を増やしているし、立教大は付属の男子2校、系属の女子2校共に好調だった。法政大への枠が拡大した三輪田学園も受験生を増やした。法政系列は明治系列や先述の芝国際などに受験生を奪われたように思われる。ここ数年にぎやかだった日本大系の人気は沈静化した。

 こうした勢いは24年も続くのだろうか。この年は、神奈川・埼玉・千葉に加えて東京の小6人口も減少する。一方で、大手塾の中には新しく小6生となる在校生が5%増というところもいくつか出ている。他の塾から移ってきたことも考えられるが、受験生の増加基調が人口減を補うようであれば、24年入試も厳しい状況が続くことになりそうだ。

 とはいえ、留意点もある。首都圏がすべて同じように動いているわけではないことだ。以前から指摘されているように、中学受験とタワーマンションの親和性は高い。駅前再開発などが進むエリアでは、今後、中学受験生が増加する可能性が大きい。

 すでに北千住(足立区)には大手塾が進出して生徒を増やしているし、現状では、JR十条やJR板橋、JR新小岩と小岩、その後には京成立石やJR綾瀬などでも駅前再開発に伴うタワーマンションの建設が進む。北区や葛飾区、足立区や江戸川区といった、これまで受験率の低かった23区北部や東部が今後、注目を浴びていくかもしれない。