難関・上位校の新しい動き

 次回は、東京・神奈川最終情勢の続編として、「弱気の学年」である2024年受験生が、中堅から中位の学校にシフトする動きも見てみたい。とはいえ、どの学校も志願者数が増えているというわけでもない。ボリュームゾーンの中でのホットスポットはどこか、受験前に確認しておきたい。

 最後に、難関・上位校の新しい動きについて触れておきたい。これまで見てきたように、男子は東大合格実績で左右され、女子は医師をはじめとする理系志向が響く時代になっている。

 これまで海外に居住していた家庭の受験生は、「帰国子女」として帰国生枠で前倒しするかたちで入試が行われていた。一方で、国内のインターナショナルスクールなど学校教育基本法1条校の要件を満たしていない学校からの「国際生」と呼ばれる受験生をどう扱うか、各校の見解が分かれており、これまでグレーゾーンとされていた。
 
 東京私立中学高等学校協会では、こうした動きが青田買い的なフライングにならないよう、2月からの一般枠に含めるよう申し合わせ、それが24年入試では厳密に行われるようになっている。「国際生」入試のようなものが一般入試に混じって募集要項に追加されているのはそのためである。

 開成は、24年の募集に当たって、いわゆる1条校以外からの募集も受け入れる旨を学校サイトに明記した。「国際生」の受け入れについて、開成が意思表示をしたことは大きい。

 とはいえ、数年前から他の男子難関校である駒場東邦や武蔵では受け入れており、そうした流れに乗った動きという側面もある。今回の措置が24年の志願者数にどこまで影響したのかは不明だが、開成が東大以外に米国の大学進学にも本気で力を入れてきていることは確かだ。その一つが、米国プレップスクールで開催されるサマースクールへの参加で、このプログラムを採用している学校としては他に成蹊がある。
 
 難関校の進路が多様化していく流れとして、これから中学受験を考えているご家庭でも、こうした取り組みを見守っていただきたい。