1938年に裁縫女子学校として創設されて以来、時代の変化に応じて中学校の併設、男女共学化などの改革を続けてきた共栄学園は2024年度、高校に「未来探究コース」「国際共生コース」「理数創造コース」「探究特進コース」「探究進学コース」の5コースを新設した。
最難関国公立大学や難関私立大学の現役合格を目指す「未来探究」、1年生から英語と地理歴史を多く学ぶ「国際共生」、数学と理科の授業数が多く、実験や演習が充実している「理数創造」といったそれぞれの特色があり、生徒は自身の関心分野や将来の希望に基づき、コースを選択する。
各コースに応じた探究活動のプログラム「K-チャレンジ」も豊富に用意。数学オリンピックなどへの出場を目指す「理数オリンピアンゼミ」、AI学習に必要なスキルを習得する「AIチャレンジ・STREAMチャレンジ」などで、生徒の意欲を高める。広報部長の増村薫教諭は、「教員もまだまだ知らないことばかり。教員主導というより、教員と生徒が一緒に試行錯誤しながら探究し、学んでいきたいです」とほほ笑む。
探究を軸にした5コースを新設するに当たり、増村教諭は「共栄学園の生徒は中学でも、探究の土台になる学びをすでにしている」ということに改めて気付いたという。中学では週1回、絵画などの芸術作品を鑑賞し、教員と生徒が感想を伝え合う「朝鑑賞」の時間を設けてきた。各分野の専門家による講演会も年5~6回開き、生徒の関心の幅を広げる。23年度は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の職員や犯罪心理学の研究者などを招いた。
正解がない問いに向き合って意見を交わし合ったり、自らの進む道を考えたりするプロセスは、先の見えない未来に向かって自ら思考し、学ぶ力を養う探究活動につながる。「高校の新コースは、これまで自ら学び、考えることを大切にしてきた中学生がさらに成長していく場になるのでは」と増村教諭。
温かな雰囲気の中
勉強も部活も全力投球
「至誠一貫」が建学の礎で「いかに困難な時代にあっても、至誠(至高の誠実さ)の心を一生涯貫く」という姿勢が大切に受け継がれ、校内は、部活も勉強もひたむきに頑張る生徒の活気に満ちている。23年夏には野球部が甲子園に初出場し、専用グラウンドがない中での快挙と話題を集めた。体づくりを第一にし、地道なトレーニングを徹底したことが、結果につながったという。そんな一生懸命な姿勢はどの部活にも共通で、ダンスドリル部、女子バレーボール部なども全国レベルの強豪だ。一方で学校全体の温かな雰囲気も特徴で、ガラス張りの職員室には、生徒が気軽に入りやすい。教員がすぐそばで見守ってくれている安心感の中、生徒たちは勉強にも部活にも積極的に取り組み、未来を切り開く人材へと成長していく。