神奈川学園中学・高等学校
及川正俊校長

 神奈川学園の一日は「朝読書」から始まる。読む本は自由。生徒たちは好きな本を持ち寄り、静寂に包まれた教室で活字を追う。以前の朝読書は10分間だったが、2024年度からスタートした独自の「リーディング・プログラム」の一環で、15分に延長された。

 リーディング・プログラムは、「スマホ依存」などを研究テーマとする東北大学の榊(さかき)浩平助教を学習アドバイザーに迎え、読書とICT機器の利用を意識的に見直すというアプローチから学力向上を目指す取り組みだ。

「科学的な見地からいうと、学力を伸ばすにはICT機器の使い過ぎに留意し、日常的に本を読み、よく眠ることが重要。ごくシンプルな結論ですが、それを裏付けるデータはたくさんあります。例えば、スマホの使用時間と学力の伸長には明確な相関関係がある。また、読書習慣の定着している児童・生徒は、短時間の学習時間でも成績上位に行けるというデータもあります。リーディング・プログラムを通じて、榊先生の講演や、より一層の読書の習慣付けといった取り組みを行い、生徒が自覚的に生活を見直し、よりよい習慣の中で過ごせるようにしていきたいと考えています」と、及川正俊校長。

24年は難関大合格者が
前年比1.5倍超に

 もともと読書を重視してきた神奈川学園は、図書館も充実。書架には司書や教員、図書委員の推薦図書が手製のPOPと共に並び、入学前まで読書習慣のなかった生徒にとっても、本を手に取るまでのハードルが低そうだ。なおこの図書館は、カフェテリアやアカデミック・ハブ(学習支援室)と共にラーニングセンターとしても機能し、放課後学習支援の場となっている。

「加えて、希望者に対する個別支援も強化しています。例えば、英検準1級や2級などでハイスコアを目指す生徒に向けた学習会を実施。特定の進路や大学を目指す生徒向けの懇談会も手掛けています」(及川校長)

 こうした積み重ねの結果は、24年春の大学合格実績にも表れている。国公立大や早慶上理、GMARCH以上のいわゆる難関校に合格した生徒数は前年比1・5倍超と急増した。理系進学者は全体の36%で、進学先に薬学部、獣医学部などの医療系を選ぶ生徒が多数を占める。理系進学者の割合は女子校としては比較的高い水準だが、「『女子は理数が苦手』という固定観念を払拭すべく、中学3年間で100種類以上の実験・観察の時間を設けるなど、理系科目への関心を高めるカリキュラムを導入しています」と及川校長。

 クラスごとにテーマを決めて発表する文化祭などの生徒会行事の他、海外研修や国内でのフィールドワークといった体験学習も盛りだくさんだ。「一人一人を大切にする」という温かい、安心できる環境の中で、生徒たちは学びに課外活動に、心豊かな6年間を過ごしていく。

体験を通じた学習を大切にしている神奈川学園。高1の国内フィールドワークは、沖縄、水俣、四万十川(写真)、京都・奈良、東北から選択する
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神奈川学園中学・高等学校
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