京華女子中学・高等学校
山中秀樹校長

 男子教育に定評がある京華中学・高等学校の校訓は「ネバー・ダイ(不撓不屈)(ふとうふくつ)」。町田英幸校長は「生徒の興味・関心から才能を引き出して、やればできるという自信、やり抜く力を付けさせる。自信は自己肯定感を高め、なおかつ主体性を育みます」と力説する。

 自信を支える学力については6年間を2年ごとに「基礎」「発展」「受験対策」と位置付けた手厚い学習支援制度を用意。中学では学力の底上げを目指す夏期講習や放課後のキャッチアップ講座など、細やかで粘り強い指導を徹底。高校で飛躍できる伸びしろをつくる。

 また国際教育では、語学研修を組み込んだ多彩な国際交流のプログラムも充実している。そこに2024年度は、新たに二つのプログラムが加わった。一つは町田校長の10年来の構想だった高2の研修旅行。行き先は沖縄とタイの選択制だ。もう一つは同じく高2のベトナム・スタディーツアー。「日本に追い付こうとする国々のパワーとその一方で貧困を抱える現実を知り、恵まれた国に住む自分たちがなすべきことは何かを考えてもらいたいのです。そして恵まれた日本にいながら、アジアの同世代に比べて英語力が足りないことも実感してほしい」と町田校長。厳しくも生き抜く力を培う骨太の教育が、ここにある。

アットホームな雰囲気で
共感力の育成を重視

 一方、90年以上学んだ旧校舎から白山の新校舎へ移転した京華女子中学・高等学校。時を同じくして就任した山中秀樹・新校長は、始業式で生徒たちにこう呼び掛けた。「明るく元気にあいさつができる旧校舎の普段の生活を、そのまま新しい校舎に持ち込んでください。旧校舎のときのように愛される校風をみんなで一緒につくっていきましょう」。

 小規模校ならではのアットホームな雰囲気が魅力の同校。教育の大きな柱は「共感力」「グローバル力」「学力」の三つ。中でも際立つのが共感力を重視した取り組みである。共感力を「他者の考えや気持ちを酌み取り、その人の心に寄り添うことができる力」と定義。

 山中校長は「共感力に基づく人間関係の中で、お互いに認め合い、自分の世界を輝かせることができます。3校ワンキャンパスという新しい環境にも共感力は必要です」と語る。

 生徒同士が主体的に考えるグループワークを授業に多く取り入れることで、共感力を育んでいる。

 中学では協働的な学びを通して多様な価値観を理解し、共感力を高め、豊かな人間性を育む独自の教育プログラムEHD(Education for Human Development)を実践。茶道や華道などの伝統文化や点字、手話などを学ぶ「心の教育」を行う。

「失敗しても『大丈夫だよ』と励ます声が自然に出てきます。生徒同士の共感力が失敗を恐れない心を育て、成長につながっていくのです」(山中校長)

部活動では吹奏楽部や演劇部などはこれまでも合同で行ってきたが、女子校の白山移転で物理的な距離も縮まった。今後は京華祭の合同企画なども実行していく
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