啓明学園中学校高等学校
大坪隆明校長

 40以上の国・地域からの国際生(帰国生や外国籍生など)を受け入れている啓明学園は、多文化共生の先駆けだ。2024年度は全校生徒のうち35%が国際生だった。

 2年前に就任した大坪隆明校長は、国際性や多様性を重視する一方で、新しい教育方針「自学自習の習慣付け」と「体験を重視した思考力育成」を2本の柱に、教育手法やプログラムなどの改革を打ち出している。その狙いは「変化する社会の動きに合わせ、教育の枠組みを変え、その結果として、生徒一人一人の“一歩先の進路実現”を目指すことです」と大坪校長は語る。

 具体的には、25年度から授業時間を1コマ50分から45分に短縮して平日7時限とし、土曜日の授業は廃止して、週5日制に移行する。「生徒が部活や興味・関心のあることに打ち込んだり、家族と過ごしたりする時間を確保できるように」との配慮からだ。

 学習面では「セルフスタディ・アワー」と呼ばれる自学自習の時間を週2コマ設定。その週に習ったことを復習したり、試験の準備をしたりする。「今の自分に何が必要かを自分で判断し、勉強に向き合う姿勢を培ってもらうための時間」(大坪校長)だ。自習といっても学習管理のICTツールを導入し、担任・副担任が一人一人の状況を把握しながらガイドする。さらに、民間の個別指導塾と提携し、放課後の学習センターを開設する予定だ。「教科の進捗具合を共有し、啓明のスタッフとして入ってもらいます。今の子どもたちはいろいろなことに忙しい。生徒が学ぶための物理的な時間と空間を保障し、学習課題は学校にいる間に解決して、全部完結してもらいたいのです」と大坪校長。

全員参加の海外修学旅行や
米国発のイベントを実施

 一方、「体験を重視した思考力育成」では、探究学習の再設計をする。中学では数学と他教科とのコラボ探究授業「Math Quest(マスクエスト)」をすでに実施しているが、それをさらに深め、教科横断チームをつくってプログラムを再設計する。また、25年度中学入学生より、全員参加で海外修学旅行を実施予定だ。中1と高1には、24年11月から米国の表現教育団体が提供する「ハート・グローバル」というミュージック・アウトリーチを導入する。これは世界中から集まったキャストと呼ばれる講師が英語で音楽出張授業を行い、3日間で1時間のショーを生徒と共に作り上げるプログラム。「歌ったり、踊ったり、自分で自分を解放することが学べるプログラム」であり、キャストが生徒の家にホームステイするのも特徴で国際色豊かな啓明らしい。同校のキャッチフレーズは「1秒先の自分へ」。生徒一人一人が将来の目標や理想とする自分を見つけて、1秒でも、1センチでも成長を止めることなく近づいていってほしいという願いが込められている。国際教育の伝統校に新たな風が吹いている。

啓明学園は世界40以上の国と地域から生徒が集い、多様な文化や価値観が共存する“多文化共生キャンパス”だ
●問い合わせ先
啓明学園中学校高等学校
〒196-0002 東京都昭島市拝島町5-11-15
TEL:042-541-1003
URL:https://www.keimei.ac.jp/jsh/