「女性が社会を変える、世界を変える」という校祖・下田歌子の高い志の下に創立された実践女子学園中学校高等学校。校名にある「実践」を信条とし、生徒たちは価値観が多様化する社会をたくましく、しなやかに生き抜く力を身に付けていく。
この実践力を育む3本の柱が「探究教育」「感性表現教育」「グローバル教育」だ。湯浅茂雄校長は「3本の柱が連携した総合的な教育の成果が、学業や生徒たちのさまざまな活動で実を結んでいる」と語る。
自ら課題を見つけて解決する力を養う探究教育では、中1~高2を対象に、「未来デザイン」というオリジナルの教科横断型授業を展開。探究テーマへのリサーチ・発表の手法を身に付け、身近な社会や世界が抱える答えが出ない課題を探究し、解決策を見いだしていく。
思いやりの心を育てる感性表現教育では「礼法」(中1、高3必修)の授業で日本の伝統に即した礼儀作法の“型”や意味、挨拶や所作などを身に付ける。
「実践生はお辞儀の仕方で分かると、お褒めの言葉を頂きますが、相手を敬い、思いやる礼法の心が自然に表れているからだと思います」(湯浅校長)
10人のネイティブ教員と学ぶグローバル教育では海外研修や留学メニューをはじめ、日本文化実習や留学生との異文化交流など、多様な体験活動を用意。英語力を鍛え、世界へ踏み出すための一歩に導く。
連携教育を推進して
学びの環境を進化させる
2023年度は生徒たちの実践力が学校内外の活動でも大きな成果を上げている。一つは第17回全日本高校模擬国連大会・本大会で優秀賞を受賞、米国ニューヨークで開催される高校模擬国連国際大会に日本代表団として出場。また、探究学習の成果を競うクエストカップ2024全国大会ではグランプリ獲得の快挙を成し遂げた。学内ではユネスコスクールへの加盟を機に、生徒たちが立ち上げたユネスコ委員会が本格始動。ユネスコの国際デーを記念する学校イベントを主催し、運営した。
湯浅校長は実践女子学園としての強みを生かした中高大連携教育を推し進めている。高校生は大学の一部の授業履修・単位修得ができ、海外語学研修にも参加可能。大学教員が特別講座を行い、各種発表会の審査もする。「高等教育に触れることで、学びの楽しさを知り、進路について考えるきっかけにしてほしい」と話す湯浅校長。連携教育の推進と同時に、これまで希望者対象だった放課後学習システムを全員参加に改革。外部の専門講師が常駐し、生徒の自習を促進する。
「6年間の中で高い志を持つことの意義を学び、自分の夢を見つけてほしい」と湯浅校長。渋谷の真ん中にありながら豊かな緑に囲まれた学び舎で、生徒たちは品格を宿らせ、時代を生き抜く“実践力”を磨いていく。