カトリック女子修道会が母体のサレジアン国際学園世田谷中学高等学校。2023年に共学化を図り、探究学習に重点を置く「本科」クラスと、英語力を強化する「インターナショナル(以下、インター)」クラスを設置。全教科にPBL(問題解決)型授業を導入している。
本科の特色の一つは探究型ゼミ授業だ。中2から希望のゼミに所属し、自らテーマを決めて高2までの4年間取り組み、成果を発表する。
その本科に、新たなプログラムが加わる。26年度から始まる「MEDICO(※)」だ。
「MEDICOは、理科や数学、情報などの教科を横断する特別編成のプログラムです。データ分析や統計的手法を身に付け、データサイエンス・リテラシーを活用して、社会課題の解決ができる実践的な能力を身に付けていきます」。そう語るのはMEDICOの陣頭指揮を執る教育研究開発部長の田中赳裕教諭だ。「最近、科学リテラシーで人をだますような社会的な出来事が多発しています。そういったことに対してもきちんと洞察力を持って、正しく社会の発展を推し進められる人材を育てていきたい」と田中教諭は期待を込めて語る。MEDICOの出口には、医学やデータサイエンスを想定している。この分野への進路を検討している生徒にとっては、中学の段階から等身大の学問としてなじんでいくことができるに違いない。
一方インターは、帰国生が中心のアドバンスト(AG)と入学時の英語力を問わないスタンダード(SG)に分かれて授業を行っている。
「オリジナル教育プログラムの『サレジアン・アカデミック・プログラム(SAP)』では、AGとSGが混合で文化学や環境・社会問題について、英語で探究し、校内行事の場で発表します。英語力の差を超えて議論をし、考える力や発信する力を高め合っています」とインターナショナル推進部長の上田かおり教諭は語る。
校内留学制度、ジャーナル発行
続々と新しい取り組み
また24年度から「サレジアン校内留学制度」を開始。中1の1学期、本科生がAGクラスに1日“留学”、ホームルームと英数理社の中の1教科などを一緒に学ぶのだ。「英語が飛び交うインターの教室やオールイングリッシュの授業スタイルを体感することは、本科生が英語の必要性を実感し、発奮する材料になっています。多様な価値観があることを知るいい機会にもなります」(上田教諭)。
もう一つの新しい取り組みとして、授業や個人探究で得た成果を共有する学校公認「ジャーナル」の発行を計画中だ。全校生徒を対象に英語論文を募集し、秀でた論文を掲載する。
2期目にして新しい学びを次々と打ち出し、進取の気風に富む同校。深い思考力と多様性を持つ「世界市民力」の育成に向け、惜しみなく力を尽くす。
※MEDICO:Mastery Education for Dedication with Innovation, Curiosity, Originalityの頭文字から名付けている
サレジアン国際学園世田谷中学高等学校
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