2024年春の卒業生58人のうち、医学部に8人、歯学部に9人が合格するなど、現役生の医歯薬系合格率が高いのが秀明中学校・高等学校の特徴だ。この合格率を支えているのが、首都圏唯一の全寮制中高一貫システム(高校は寮制と通学制の選択制)である。
「児童から生徒になる中学の時期が、自立するベストのタイミングなのです」と言うのは2024年4月に就任した神原洋校長だ。自宅ではテレビやスマートフォンなどに囲まれた日常があり、身の回りのことは親がしてくれる。しかし、寮では部屋の掃除や私物の整理など、全て自分でやらなければならない。生徒たちは仲間と寝食を共にし、正しい生活習慣や学習習慣を身に付け、お互いを思いやる心を醸成し、夢を語り合い、目標を明確にしていく。月曜から金曜までの4泊5日の寮生活は、自立心や協調性、忍耐力といった人間力を育む上で最適な環境なのだ。
「通学や塾通いには膨大な時間とエネルギーを使います。本校の寮生は、その時間を学習時間に充てることができるのです。また、夜遅くまで塾に通い、睡眠時間を削って勉強するという『ムリ・ムダ』がありません」(神原校長)
寮では夕食後から午後9時まで、昼間と同じ教員の指導で夜間学習を行う。中学では徹底した問題演習と、授業で学んだことをスモールステップで確認するチェックテストを行い基礎学力の定着を図る。高校ではコース別に過去の入試問題を含めて徹底した指導をする「大学受験講座」を開いている。学習時間の確保に加え、医歯薬系の進学指導のノウハウが蓄積されていることや、レベルの高い教員がそろっていることが高い合格率を支えている。
英カンタベリーに
系列の英語研修施設
「英語教育」にも定評がある秀明だが、豊富な経験を持った英国人教員が独自の教育を実践。英国人スタッフが身近にいて昼食を共にするなど、放課後を含め、常に生きた英語と英国文化を学ぶことができる。また、英国のカンタベリーの英語研修施設を使用して、希望者全員が2~3週間にわたる研修に比較的安価で参加できる。若いうちに海外で学び、現地の人たちと英語でコミュニケーションを取ったり、異なる文化に触れたりすることは語学の向上はもとより、貴重な経験であり、大きな自信になるという。
同校は今、「秀明学園リニューアル計画」の下、校舎を全面改築して機能的な食堂を新築するプロジェクトを進めている。新校舎では無線LANのアクセスポイントが随所に設置され、全教室がICT教育対応となるほか、イングリッシュサロンや多目的ホールも新設される。寮生活に加え、新校舎でのより快適な学習環境は、秀明生たちの希望の進路を実現する力となってくれるに違いない。