十文字中学・高等学校
横尾康治校長

 2024年1月、全校生徒が参加する探究の祭典「十文字探究DAY 2024」が開かれた。約1300人の生徒が一堂に会し、成果を発表するという、初の試みだ。

 説得力のあるデータで運動と食事と健康の関係を検証したり、女性アスリートの支援につながる「女性による女性のための引っ越し会社」の事業構想など、発想豊かな発表に、横尾康治校長は驚かされたという。「高校生の発表は、かなり高いレベルだったと思います。引っ越し会社の構想は『ほぼ起業できるレベル』と言われるほど。生徒たちも大いに刺激を受けたと思います」と振り返る。

 22年の創立100周年を機に、中高6年間を通じた新たな探究学習に取り組んでいる。中1は先人のさまざまな価値観に触れ、中2は企業の模擬インターンとなり、多様な生き方を知り、中3は身近な問題をビジネス的手法で解決するなど、高3までの6年間、段階に応じた探究を続けることで、挑戦力や創造力、傾聴力など、六つのコンピテンシー(資質・能力)を育む。「探究や人前での発表は、生徒たちには難しい挑戦かもしれません。でも、こうした経験を重ねるうち、面白さを見つけ深めたり、もっと学びたいという意欲が生まれたりと、探究に不可欠な自ら学ぶ力がより高まっていくと思います」(横尾校長)。

数学の個別最適学習で
主体性と学力を伸長

 身近な事象を楽しみながら科学を学ぶ「サイエンスパーク」をはじめ、定評ある理数系教育でも生徒の主体性を育んでいる。22年度からは、数学の授業で独自の個別最適学習プログラム「J-PALM(ジェイ パル)」を導入。デジタルの教科書や問題集、動画を活用し、生徒一人一人の理解度に応じた「確かな学力」「自己調整学習力」「数学的思考力」の向上を目指す。「主体的な学びとなる『自己調整学習力』が高い生徒は、解いた問題の量を問わず、模擬テストの学力も伸びたという分析結果が出て、自分で決めて学ぶことの重要性が改めて裏付けられました」(横尾校長)。

 また、東京薬科大学や量子科学技術研究開発機構などと連携し、生徒の学びをより深める専門性の高い講演会や研修を続けてきたが、海外の教育機関にも広げている。23年度、台湾の大学や高校と連携協定を結び、修学旅行先の候補の一つとして検討しているという。

「生徒が自ら学び、行動するには、多様な『やりたい』『試したい』というその気持ちを受け止められるだけの環境を学校として整える必要があります。外部と連携を進め、探究でも理数でも、深めたいならいくらでも深められる環境を用意していきたいと思っています」(横尾校長)

 100年以上前、学びを求める女性に教育の機会を、と創設された十文字。自らを高め続ける「自彊不息(じきょうやまず)」の建学の精神が今も息づいている。

「十文字探究DAY 2024」では、正解のないテーマについて、生徒が考え抜いた発表が相次いだ
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十文字中学・高等学校
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